「DBをクラウド移行できるか?」の3つの判断ポイント
●谷川:ワム・システム・デザインの入退場管理システムでは、クラウドの良さを的確に活かしたソリューション開発・運用を実現されていますが、一般論も含めて、データベースをクラウドに移行するメリットとデメリットには、どんなことがあるのでしょうか。
●岸和田 隆氏(以下、岸和田):当社のお客様からは、「どういう形でクラウド上にデータベースを構築したらよいか?」というご相談が最近増えてきています。この場合、その構築したいデータベースにクラウドを使えるか否かを判断する上で、「データがどこから発生しているか?」「データを自社以外の場所に持っていけるか?」という点をチェックする必要があります。それぞれの課題や留意点には、こんなことがあります。
自社のオンプレミスのシステムからデータが発生している場合
これらのデータを外部のクラウドに持っていけるかどうかが、クラウド移行の可否の分かれ目です。ここではシステムの仕様自体よりもむしろ、データベース運用のポリシーがハードルになるケースが少なくありません。クラウド移行を検討する場合、まずは、自社のポリシーを確認することが必要です。
情報系のデータは比較的クラウドへ持って行きやすい
情報系データは発生元が社内の業務システムなので、万が一クラウドに問題が生じても、大きなダメージは避けられます。「基本的に元データは社内に保管されており、分析用のデータが外部(クラウド)にあるだけ」という考え方ができるため、「分析用のデータなら外に出せる」というお客様が現在のところは多いですね。
もともと外部で発生したデータは取り扱いが容易
IoTデータなどは、もともとが社外で発生しているものを収集してきてクラウドに移行するだけなので、取り扱いの自由度は高い。もちろんその仕組みがセキュアかどうかということは、十分に検討する必要があります。
PaaSとIaaSの組み合わせで横展開する場合もカンタン
●谷川:今回の入退場管理システムはPaaSとIaaSを組み合わせて利用されていると伺っています。Oracle DatabaseはPaaS、アプリケーションはIaaSという今回のシステムでの構成検討に関してお話しいただけますでしょうか?
●田村:データベースに関しては、ライセンスも含めて比較的安価に利用できるPaaSを選択しましたが、データベース インスタンスの作成が簡単で、可用性や運用の自動化機能が備わっている点を評価しています。
●谷川:なるほど、PaaSを選択されたことで可用性や運用管理の部分も負荷軽減できているんですね。また、一度PaaSの上でしっかりと作り上げてあるということは、今後横展開する可能性が出てきた場合に楽ですね。そのつどOSからセットアップして……という作業が不要になります。
●田村:おっしゃる通りです。何か新しく発生するとしても、Webサーバーの入口部分をお客様ごとに増やしていく程度の作業で済みます。もちろんデータベースはそのまま使えます。
●谷川:PaaSであれば、他でも使おうとなった時にコピーするのも楽です。反対に、お客様がやはり完全に独立させて稼働させたいと希望した場合も、同じものをPaaSで立ち上げれば済む話です。いずれにしても、お客様のご要望に合わせた迅速な対応が期待できますね。
(後編に続く)