
今年は10月、11月は、海外のイベント取材ラッシュだった。Oracleから始まり、Workday、Teradata、Salesforce、CA Technologiesと5つのベンダーの年次カンファレンスに参加し、さすがにちょっと疲労気味。今ではこういった海外イベントの基調講演の模様などは、インターネットで中継される。なのでわざわざ現地に行かずともいいのでは。とは言え現場の雰囲気や参加している人たちの熱を感じることで、ベンダーの今後の勢いも占える。また期間中繰り返し耳にするキーワードなどは、現地に行かなければ掴めない情報でもある。すでに参加しているタイミングでレポート記事も掲載しているが、そこから漏れてしまった話題をここでフォローしていきたい。
Oracle Cloudのコンテナネイティブ・アプリケーション開発環境
今年のOracle OpenWorldは、新しいデータベースの話題が前面に出た。世界初の自律型データベース・クラウドの構想を発表し、キーワードは「Autonomous」。これについては、CTOのラリー・エリソン氏が強くメッセージアウトしたこともあり、もっとも注目された話題となったのは間違いない。年内にはデータウェアハウスのサービスが登場する予定なので、その動向は引き続き追いかけていくことになる。
他にも、Oracleからはクラウド周りの開発環境の発表にいくつか興味深いものがあった。その1つが「Oracle Container Native Application Development Platform」だ。これはコンテナネイティブな継続的統合および継続的デリバリー(CI/CD)パイプラインの「Container Pipelines」、プライベート・レジストリサービスとなる「Container Registry」、Kubernetesベースのフルマネージドサービスである「Container Engine」の3つの要素から成り立っている。
Oracle Container Native Application Development Platformでは、買収したコンテナベースの開発プラットフォーム「Wercker」のCI/CDを使ってアプリケーションをビルドし、それをレジストリにプッシュしてKubernetesで管理するという一連の作業を、Oracle Cloudのプラットフォームの上で容易に実現できる。「このコンテナ管理のプラットフォームは、パフォーマンスも十分に良いものを発揮しています」と語るのは、Oracle Container Groupのバイスプレジデント ボブ・クィリン氏だ。この一連の作業が、一貫性あるユーザーインターフェイスで提供されているのも特長だ。さらにこの組み合わせでしか使えないわけではなく、独自のCI/CDや他社製のものをプラグインして利用することも可能となっている。
Container Engineで利用されているKubernetesは、オープンスタンダードなものが利用されている。「エンタープライズグレードのフルマネージドサービスとなっています。ロードバランサーの機能やベアメタルでの利用など、すべてがOracle Cloudにビルトインされた形で利用できます」とクィリン氏は説明する。

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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