アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下AWS)のサービスは、昨年のイベント「re:Invent 2017」前後から増加し、100以上に及んだ。2018年は、これらのサービスを組み合わせ活用するパートナーとの連携を強化するという。
AWSの今野芳弘氏は「日本において10万以上のお客様にご利用いただいている。グローバルでは金融機関でのAWS利用が拡大している」と語る。昨年大きく報じられた三菱東京UFJ銀行のAWS導入のような金融をはじめとするミッションクリティカル分野や、基幹システム分野での成長を強調した。目立った事例として、レコチョクのOracle RACからAmazon Auroraへの全面移行、住友化学のSAP S/4HANAのAWS化をあげた。
またデジタルトランスフォーメーションにおいては、Amazon Echoを活用したサービスが生まれていることを述べた。銀行や保険会社がボイス・インターフェースのアプリケーション(スキル)を続々と発表するなど、金融分野での活用が進んでいるという。
こうした中で、新しいビジネスを作るための「デジタルトランスフォーメーション」と、従来のITを改革する「ITトランスフォーメーション」の2つの軸でパートナーとの連携を行なっていく。今野氏は、「お客様の満足度の向上がパートナービジネスの拡大につながり新たなビジネス価値が生まれる。主軸はお客様からパートナーへの流れだ」と語り、成長サイクルの図を示した。
パートナー戦略としての主な投資分野としては、インフラのマイグレーション であり、特にERP/SAPの領域は近年需要がさらに拡大しているという。また機械学習/IoT、金融、Alexaのビジネス活用、Amazon Connectなどコールセンターでのソリューションへの引き合いも多い。
こうした背景から、2018年は認定パートナープログラムの強化を行う。パートナーも含めた経験と能力、エンジニアリソースの確保が狙いだ。プログラムは「AWSマネージドサービスプロバイダ(MSP)プログラム」「AWSコンピテンシープログラム」「AWSサービスデリバリープログラム」の3種類で、昨年までと同様の構成だがそれぞれアップデートされている。MSPプログラムは、セキュリティやクラウドの特長にマッチする管理・監視などの運用スキル、DevOpsの活用力などをAWSが求める高水準の能力を外部監査で確認するというもの。
現在、この厳しい審査を通ったMSPプログラム取得パートナーは8社。このうち昨年末、新たにMSPプログラムを取得した伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)執行役員の藤岡良樹氏は、認定プログラムの恩恵をこう語る。
「プレミアムコンサルティングパートナーに昇格とMSP認定を取得した。かなり厳しい審査だったが、最近ではお客様のRFPの中にプレミアムコンサルティングパートナーであることが条件として記載されているケースもあり、SIパートナーとしての価値を感じている」(CTC 藤岡氏)
CTCはAWS上でオンプレミスから移行・構築や監視・運用をおこなうマネージドサービスなどを一貫しておこなう「CUVIC on AWS」を展開している。
またクラウドバックアップソリューションを提供するAOSテクノロジーズは、AWSのデジタルトランスフォーメーション分野に期待するパートナー。同社はAmazon Auroraを利用し、AOSBOXというクラウドコンテンツ管理サービスで、各言語対応のOCR化や、画像、動画、音声の検索機能を実装している。同社の佐々木隆仁社長はこう語る。
「AWSを選択したことで、バックアップツールのパッケージとして出発した当社がクラウドサービスに移行できた。現在30万人の有料会員でAWSに4.5ペタバイト相当のデータを保存している。現在コンテンツ管理サービスやコンテンツ共有をおこなうバーチャルデータルームを展開している。これらはAmazonのAI技術とセキュリティによって実現できた」 (AOS 佐々木社長)
最後にAWSの今野氏は「パートナーエコシステムの数値目標はあるが非公開。社数よりもあくまで高いレベルでの質を重視する」と付け加えた。