「ここまでカバーできる会社はない」。セキュリティ事業本部長に纐纈昌嗣氏が就任
セキュリティの製品やサービスで「ここまでカバーできる会社はない」。同社執行役員セキュリティ事業本部長に就任した纐纈(こうけつ)昌嗣氏は強調する。
いま世界中でセキュリティ製品やサービスを提供する企業は数多く存在し、互いに先進性でしのぎを削っている。何かで突出した製品はあれど単体で全てをカバーできるものはなく、セキュリティ専門家やSOC(セキュリティ・オペレーション・センター)運営企業が分野毎に製品を見繕い、組み合わせて使うことが多い。それに対してIBMは企業のセキュリティ対策全般をカバーでき、CISOなど企業で情報セキュリティを担当する責任者をサポートできる立場にある。
IBMはセキュリティソリューション(あるいはセキュリティのエコシステム)を「IBMセキュリティ免疫システム」と呼んでいる。人体には自己と異物を区別し、攻撃に対して防御または撃退する仕組み、つまり免疫系がある。この免疫系が各種細胞や組織など連携して外敵から身を守ることにならい、IBMは各種セキュリティの製品やツールを統合し有機的に機能するように開発を進めている。IT業界的な言い方をするとオーケストレーションだ。
IBMセキュリティ免疫システムは中心にAIも活用するQRadar Watsonをすえて分析を行い、周辺には各種ソリューションサービスが連携する。周辺にあるのはX-Forceのインテリジェンス、ネットワーク機器、IDとアクセス、クラウド、アプリケーション、モバイル、エンドポイントなど広範な分野の製品やサービスが並ぶ。パートナーとの連携も合わせると、セキュリティに関するものはほぼ揃っていると言っていい。
ここで2017年のIBMセキュリティの国内向け施策を振り返っておこう。3月にはパソナと連携してサイバーセキュリティ人材の育成「Cyber Security Intelligence Academy」、6月にはサイバーセキュリティ対策を支援するサービス「IBM X-Force IRIS」(関連記事)、7月にはセキュリティ・テスト(脆弱性などの調査)「X-Force Red」(関連記事)を提供開始するなど、各種サービスを拡充してきた。8月にはIBM Cognitive SOCプラットフォーム強化を行い、このSOCで得た情報は半年ごとにまとめて「Tokyo SOCレポート」(関連記事)として発行している。
今後の戦略はどうか。グローバルではAI、クラウド、コラボレーションがキーワードとなる。これはIBMセキュリティ免疫システム全体にコグニティブ技術(AI含む)を展開すること、クラウド(SaaS)で提供すること、加えてパートナー企業とのコラボレーションを推進していくことを意味する。
日本ではグローバル戦略をベースとして「製品やサービスの拡充、ビジネスパートナーとのエコシステムで顧客支援の最大化に力を入れていきます」と纐纈氏は話す。具体的には当日発表した「セキュリティ・インテリジェンス・センター」、ほかにもセキュリティSaaSビジネス拡大のための「カスタマー・サティスファクション」(営業組織)などの発足がある。加えてセキュリティ製品の理解を進めるためのユースケース・ワークショップの定期開催も予定している。