新規システムのプラットフォームとして、パブリッククラウドを選択するのはもはや当たり前となっている。一方でデータを持ち出したくなかったり、アプリケーション・アクセスのレイテンシー要件が厳しかったりといった理由で、プライベートクラウド環境を選択する企業もある。現状でプライベートクラウド環境を構築する際には、ハイパーコンバージドあるいはコンバージドインフラを利用することになるだろう。
ハイパーコンバージドインフラのビジネスが好調、予想を大幅超え

コンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部
vArchitectシニアマネージャー
三邉祥一氏
Dell EMCのハイパーコンバージドインフラのビジネスは昨年くらいからかなり好調だと語るのは、EMCジャパン株式会社 コンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部 vArchitectシニアマネージャーの三邉祥一氏だ。2017年の上期は、目標としていたビジネスの倍の売り上げがあった。そのため下期は、当初の目標を倍に引き上げたという。
Dell EMCには、4つのハイパーコンバージドインフラの製品がある。アプライアンスと呼んでいる製品には、VxRailとDell時代からNutanixとの協業で提供してきたXCシリーズがある。そしてラックスケールのハイパーコンバージドインフラとしては、VxRack SDDCとVxRack FLEXがある。アプライアンスの2つの製品群では、第14世代Dell EMC PowerEdgeサーバーを採用しており、ラックスケールの製品も近々に14世代のサーバーになる予定だ。
アプライアンスのXCシリーズは出荷を開始してから4年ほどが経過しており、その間に1,500社、17,000ノードが顧客のもとで稼働している。VxRailは2016年から提供しており、XCシリーズの半分ほどの期間で既に2,500社、17,000ノードを出荷している。このように実績が出ていることから「この1年でハイパーコンバージドインフラは日本でも普及が本格化してきました」(三邉氏)。
アプライアンスで利用されている14世代のPowerEdgeサーバーは、ハイパーコンバージドインフラ用にカスタマイズされている。その1つが冷却性の部分、集積率の高いハイパーコンバージドインフラでは冷却が重要であり、そのために「Multi-Vector Cooling」技術を取り入れている。また従来あったブート用ストレージが単一障害ポイントになっている問題を、PCIカード上にミラーリングしたストレージを搭載する「Boot Optimized Storage Subsystem」技術で解消している。これについてはDell EMCが先行した技術で、他社も現在では追随している状況だ。
13世代と14世代のサーバーを利用したハイパーコンバージドインフラを比較すると、IOPS、レイテンシー面で性能が大きく改善している。こういったことから、Dell EMCのハイパーコンバージドインフラが使いやすく、TCOの削減にも貢献し、市場での評価につながっていると想像される。結果として仮想化環境の大規模なリプレイスなどの際に、Dell EMCのハイパーコンバージドインフラにリプレイスすることでお効率化できるという顧客の判断になるようだ。
「ハイパーコンバージドをDell EMCではアプライアンスの形で提供します。それによりイニシャルのコストは少し割高になりますが、運用に入ったときにはコストが明らかに安くなります。イニシャルコストを気にする人は多いのですが、ぜひ3年間のTCOで見て欲しいところです」(三邉氏)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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