機能毎にサイロ化していたアサヒビールの営業基幹システム
日本を代表する大手ビールメーカーの1社として知られるアサヒビール。2011年7月には持株会社制へと移行しており、現在はアサヒグループホールディング株式会社傘下の中核企業として事業を展開している。取扱商品はビール、発泡酒、新ジャンルをはじめ、洋酒、ワイン、RTD (缶チューハイや缶ハイボール) 、焼酎、アルコールテイスト清涼飲料など幅広い。これによって多様化する消費者のライフスタイルに応え続けている。
その営業形態について、アサヒビール 業務用統括部長 理事の福岡 修司氏は次のように説明する。「主な販路は、スーパーやコンビニなど家庭用商品を扱う量販店様と、業務用商品を扱う業務用酒販店様や飲食店様に分かれます。私たちが所属するのは業務用営業組織であり、営業担当者は担当市場の卸店様や業務用酒販店様、飲食店様の情報などを収集し、お客様へのお役立ち、ご盛業への支援などを行うなど、多岐にわたる業務を遂行しています」。
これらの業務を支援するため、同社は2000年頃から機能別に、営業基幹システムを順次構築。2009年頃には約10種類のシステムを整備し、これによってほぼすべての営業業務をカバーできるようになったという。しかしこのような多岐にわたるシステムの存在は、新たな問題も生み出すことになったと、アサヒビール 業務用統括部 担当副部長の宮城 楽氏は振り返る。
「各システムがそれぞれ分かれていたため、営業担当者が該当するシステムを探したり、どのシステムに必要な情報を入力するのかなど、悩んでしまうことが少なくありませんでした。営業担当者のスキルにもよりますが、1店の飲食店に関わる業務を行うのに、数時間かかるケースも珍しくありませんでした」
また「同じ情報を複数システムに重複入力する必要があり、途中で入力を間違えてしまうこともありました」と語るのは、アサヒビール 業務用統括部 担当課長の水戸 雅文氏。その結果システム間で入力内容に矛盾が生じ、あとで修正しなければならないことも多かったという。
さらに、社外で入力作業を行う場合には、毎回PCを携帯電話に接続して社内システムにアクセスする必要があり、これも営業担当者の作業負担を増大させていた。アサヒビールでは2017年にスマートフォンを導入し、メール確認などに利用するようになったこともあり、営業基幹システムをスマートフォンで使いたいという要望も高まっていたという。