
最先端のIBMテクノロジーに触れる開発者向けイベント「Think Japan IBM Code Day」が6月11日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された。イノベーションをテーマにした多彩な同イベントの中で、参加者の関心をひときわ惹いたのがAI関連のセッションである。とりわけAIを利用したサービス実装の効率化は、現場の開発者にとって大きな関心事だ。そこで本稿では日本IBMと、AI・機械学習の実装に不可欠なGPUの製造・開発でトップを走るNVIDIAの日本法人による、ディープラーニングの効率化・高速化や最新の開発支援ツールについてのセッションをレポートする。
セッションタイトル
「学習時間を大幅短縮するディープラーニング・プラットフォーム」
登壇者
- 平野幸彦氏(エヌビディア合同会社 シニアソリューションアーキテクト)
- 伊東大地氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 システムズ・ハードウェア事業本部 ディープ・ラーニング・システムズセンター)
- 金田大樹氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 システムズ・ハードウェア事業本部 ディープ・ラーニング・システムズセンター)
OpenPOWER Foundationでの共創を通じて機械学習を推進
ディープラーニングの開発者の多くの人は、必要な結果を得られるまでの時間の短縮に大きな関心を抱いている。というのも、処理時間は実際のビジネスにおける実用性に直接関わるため、業務サイドからエンジニアへの要求も非常に大きく、一方で開発者としては非常に負荷の大きな作業でもあるからだ。限られた時間の中で膨大なデータを処理するには、いかに学習プロセスを効率化し、なおかつ高い識別精度を実現できるかが問われてくる。伊東氏は、これに対して3つの具体的な解決策を挙げる。
「まず『学習基盤の高速化』、その上で『計算モデルの自由度を高める』こと、そして最後に『開発プロセスを高速化して効率を上げていく』ことが課題解決の重要なポイントになります。今回はこれらの観点から、IBMとNVIDIAの協業の取り組みと成果、そして皆様の開発業務支援につながる効果的な手法とツールについてご説明します」(伊東氏)

伊東氏は、現在の機械学習におけるIBMの基本的な取り組みとして「GPUと深層学習を取り込み、イノベーションを促進する」というスローガンを挙げ、その推進力を支える重要な存在として、ここではOpenPower Foundationを紹介した。

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POWERは、スーパーコンピュータなどのハイパフォーマンスコンピューティング領域において重要なIBMテクノロジーである。核となるCPUをはじめ、ハードウェアの規格をインターネット上にすべて公開し、これをもとにオープンな次世代コンピューティングに向けた協業の場として設けられたのがOpenPOWER Foundationだという。
「NVIDIAやIBMなどのITベンダーはもちろん、Googleなどのユーザー企業がボードメンバーを務め、現在は330を超える団体が参画しています。ムーアの法則からの脱却を目指すオープンプラットフォームの創出に向け、新しい企画や製品の共創に取り組んでいます」(伊東氏)

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工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)
出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。
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