Red Hatが持つパートナーエコシステム
IBMでは、既に国内に3カ所のクラウドデータセンターを設置している。これは、既存のデータセンターが顧客からのニーズでいっぱいになってしまったための増設でもある。さらに今後は、関西地域にもデータセンターを開設することも決定し、投資を加速している。「IBMでは、国内のデータセンターにフルスタックのサービスを載せています。さまざまなサービスが、既に東京のデータセンターで使えます。たとえばWatsonの16あるAPIのうち、13が既に東京で動いているのです」と語るのは、日本IBM 取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏だ。
IBM全体のクラウドの戦略としてはコンテナ技術、Kubernetesに対しコミットしており、それによりハイブリッドクラウド、マルチクラウドに対応する。そのスタンスで、クラウドビジネスを推進している。このハイブリッドクラウド、マルチクラウドの戦略の中で、Red HatはIBMが持っていないところ補ってくれるという。とくに日本では、IBMの弱いところをRed Hatが持っている。その1つが、パートナーエコシステムだ。
もちろんIBMにも既に多くのパートナーがいる。しかし、IBMがリーチしていないパートナーの存在は大きい。競合のサービスを扱っていると、IBMのクラウドを扱ってもらえないパートナーがいる。とはいえIBMの持っているテクノロジーの提供と捉えれば、より多くのパートナーにそれを扱ってもらい、それぞれのソリューションに組み込んでもらう動きが欲しくなる。そういったところを、Red Hatのパートナーに期待しているのだ。
買収が完了していないので、まだ今後IBMとRed Hatがどのような体制でビジネスを行うかははっきりしていない。三澤氏は私見だと断った上で、DellとVMwareのような関係性が良いものだと感じているので、IBMとRed Hatも同様な形でビジネスができればと語る。たしかにDellと競合関係にあるベンダーともVMwareは良好な関係性を維持したまま、ビジネスを進めている。
もう1つRed Hatと一緒になることで期待しているのがデベロッパーエコシステムの部分だ。「オープンソース・ソフトウェアのデベロッパーのとりまとめと役とまで言えば語弊があるかもしれませんが、Red Hatはその部分がかなり強いです。Red Hatの力で、IBMのデベロッパーエコシステムが強化されるはずです」と三澤氏。