SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

data tech 2018 講演レポート(AD)

これまでIT化されてきた10倍以上の部分にAIが使われる――Laboro.AI CEO 椎橋徹夫氏

「認識・予測」のAIへの置き換えでビジネスが大きく変わる

 まず「認識」の場合をみてみよう。たとえば、犬と猫を見分けて認識するのは、誰もが直感的に行なうことで、ルール化は難しく、従来のシステムでは置き換えが難しかった。また、ファッションの領域で「この服と似ているスタイル」を検索しようと思った時に、現在は形や色などのキーワードで探すのが一般的だが、優れたスタイリストならば、雰囲気が似ている服を感覚的に見つけ出す。

 こうした「認識」は、まさに直感的な処理の最たるものであり、AI/機械学習によって置き換えができる可能性がある。犬と猫の見分けも、スタイリストのように雰囲気の似た服を直感的に選び出すこともできるようになる。他にも、会社の与信は大量の資料や情報から人間が行なってきたが、そうした資料の読み込みと判断も置き換えられるかもしれない。また、画像の他にも手書き文字の認識や音声・音響の認識などにおいても同様に置き換えられるものが出てくるだろう。

 そして2つ目の「予測」についてはどうだろう。ビジネスの世界では常に先読みをして行動することが求められており、これまで一部の人間の予測判断に基づいて行なわれてきた。従来は、この部分の機械化は難しいとされてきたが、いまや置き換えや補完ができる可能性が高い。たとえば「異常の検知」が話題になっているが、異常を起こす前のデータを集めて関連性を見極めれば、「異常の予測」も可能になる。また、ECサイトでもデータから次に購入される予測が立てられれば、リコメンドやマーケテイングなどの行動も変わってくるだろう。

出所:株式会社Laboro.AI[画像クリックで拡大表示]

 他にも人材紹介事業などでのマッチングについても、AI/機械学習による「成約や活躍の予測」がかなえば、定着などを勘案しながらより良い成果をあげられるよう対応が変わるだろう。さらに金融の領域では、倒産などのリスク予測がAIによるものとなる可能性がある。

 椎橋氏は「今後、これまで人間が行なってきた部分がAI/機械学習に置き換えられれば、おそらく仕事の仕方も大きく変わってくるはず」と語る。

 これまでは、リアルの世界でモノの流通や加工で産業革命が起き、ITが登場してデジタルの世界でも起きた。AIはその間をつなぐ部分を担い、リアルな世界を観てデジタルに落とす『認識・予測』から、今度は何かを生み出したり、リアルのロボットを制御するなどデジタルからリアルへの働きかけも生じていくと考えられる。つまり、AIの真価は、『一部の業務の部分的な効率化』ではなく、『コアな業務が大きく変わること』にあるのではないかと思われる。

 こうした認識・予測から始まっていくAI/機械学習による第4次産業革命が、どのように自社のコアビジネスに影響するのか。それを考えるところが起点となるというわけだ。

多種多様な企業でAI/機械学習導入の取り組みが進む

 続いて椎橋氏は、自社のコアビジネスにAI/機械学習を導入し、大きなビジネス価値を与えた例、構造を変えてきた例について紹介した。

 1つめに紹介されたのは、あるゼネコンの施工管理業務へのAI/機械学習の導入事例だ。施工管理業務はベテランの属人的な技術に負うものであることが多い。それをすべて置き換えようというもので、長期的な取り組みになっているという。さらにゼネコンにおいては、設計業務の領域へのAI/機械学習の導入事例も進んでおり、それによって最適化・省力化・短縮化を図ろうとしているという。

 2つめは、介護サービス企業でのケアプランの作成における導入事例。慢性的に人手不足という状況下で、プランニングの質が悪いとオペレーションも悪く現場が疲弊してしまう。そこで被介護者に対してヒアリングとアセスメントを行ない、既存の優れたケアプランをモデルとしつつ自然言語の認識技術を用いて自動的にプランを作成している。

 さらに大手メディアの非財務情報(文書情報)に基づく企業評価の自動化システム、大手人材紹介/人材派遣に対する、成約確率の予測に基づく求職者と求人案件のマッチングシステムなども紹介された。

 また大手製薬で、レセプトデータを自然言語処理技術を活用して自動処理することによる医療管理改革や、機器メーカーにおいて映像によるユーザー状態認識機能を持つ次世代型キオスク端末の開発に携わるなど、多くの事例が紹介された。

出所:株式会社Laboro.AI[画像クリックで拡大表示]

 椎橋氏は「いずれもそれぞれのコアプロセスに直結した部分であり、従来は熟練者の担っていた部分をAI/機械学習で補完し、一部を置き換えることを意図している。そして中長期的なプロジェクトビジョンを持って取り組むことで、未来における大きなビジネス価値を創出することができる」と語った。

次のページ
既存のITシステムと大きく異なるAI/機械学習のソリューション開発

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
data tech 2018 講演レポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/11562 2019/01/24 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング