Oracleは組み込み型AIでアプリケーションやデータベースを革新する
企業は競争優位性を得るために、常に将来を予測しなければならない。その上、日々サイバー攻撃による侵害も心配しなければならない。それらに対処するのになるべくコストをかけたくない。また企業は顧客から大きく期待されており、その対応には顧客の膨大なデータを蓄積し活用しなければならない。
「このように企業はさまざまなことを心配しなければなりません。でも大丈夫です。皆さんは心配しなくていいように、ここに集まっているのです」―こう語るのは、Oracle OpenWorld Asiaの基調講演のステージに登場した、Oracle プレジデントのロイック・レ・グスケー氏だ。Oracleは企業のさまざまな心配事を取り除くために活動しており、そのために5ビリオンドルもの大きな研究開発投資も行っており、その成果として、製品やサービスにはAI機能を多数取り入れている。
AIの技術は、既に30年以上前からある。AIが大きな転機を迎えたのは、2013年に囲碁のチャンピオンがAIに負けたことだとグスケー氏は言う。囲碁は複雑なゲームであり、人がAIに負けることはないと思われていたが、AI技術のDeep Learningがそれを覆すことになる。現在は囲碁のようなゲームで人に勝利するのではなく、AIはより人々の生活にとって価値あることに使われるようになっている。アルツハイマーや癌といった医療の課題を解決するのにもAIが利用される。AIを使うことで、たとえばアルツハイマーを引き起こす神経網の解明が、これまでよりもかなり迅速化している。
現状AIにはさまざまなものがあるが、Oracleは日々行われている業務のプロセスの中にAIを組み込んでいる。業務の中でデータを学習することで、さまざまな業務課題を解決している。
「Oracleでは、個別のAI機能を提供しているわけではありません。Oracleのクラウドサービスでは、組み込み型AIの恩恵を大きく受けています。それで皆さんが行っている業務を支援しているのです」(グスケー氏)
さらにSaaSのアプリケーションの中で組み込み型のAIを活用するだけでなく、Oracleではデータベースのクラウドサービスの中でもAIを活用している。それがOracle Autonomous Databaseだ。これによりデータの復旧などが自動化され、さらにセキュリティパッチもタイムリーに自動で適用される。
「セキュリティ侵害のインシデントのうち、80%以上のものは既存のパッチを当てていれば回避できたものです。それを当てていないから侵害されているのです。Autonomous Databaseならば、そういった人為的なミスも回避できます」(グスケー氏)
アジア地域においてもAIを活用するOracleのクラウドサービスは既に利用されており、多くの事例が既にある。日本でも津波などの大規模な災害の対策のために筑波にある防災科学技術研究所がOracle Cloudを活用していることが紹介された。このような先進的な取り組みがアジア太平洋地域でも増えており「アジア太平洋地域が、今後10年世界を引っ張っていくことになるでしょう」とグスケー氏は言うのだった。