サブプライム問題の直接的な影響、原油価格上昇がもたらす「家計引締め」による間接的な影響など、金融機関を取り巻く環境は“不確実性”を増している。いかにして、限られた経営資源を効率よく活用しつつ高収益体質を構築していくのか。
何故オフショアを利用するのか
近年よく耳にする業務アウトソーシング。シェアドサービス化によるコスト低減、本社職員のコア業務への集中など、日本の企業においても「子会社への業務委託」などの形で進められてきた。では何故オフショアを活用するのか。
日本の労働市場の状況を鑑みるに、オフショアを活用するメリットは、「さらなる要員調達」と「さらなるコスト低減」の両者を同時に達成できることにある。
数年前までの日本経済の不調に耐え抜くために、多くの日本企業が正社員の採用を抑制したため、スキルを持った社内若年層の数が少ない。更には2020年には若年層人口(25~39歳)が生産年齢人口(15~64歳)の28%(2010年時点では約32%)となり、国内においては調達対象が減少する傾向にある。
一方、日本企業のオフショア先の最有力候補である中国では、毎年多くの優秀な大学卒業生が労働市場に加わっているが、中国の賃金水準は日本に比して依然低い。
オフショア・アウトソーシングの“3つの問い”
前述のメリットを踏まえ、オフショアを活用した業務アウトソーシング(以後「オフショアBPO」)について、いくつかの企業の方々と意見交換をさせて頂いたところ、担当者の方々は、主に3つの懸念を持たれていると感じた。
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奥野 隆史(オクノ タカフミ)
1976年生まれ。福岡県出身。1999年慶應義塾大学法学部卒業後、同年アクセンチュア入社。金融サービス本部所属 マネジャー。国内外保険会社におけるプロジェクト管理経験等を経て、現在は主にアプリケーション、業務アウトソーシングを担当。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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