SIAM適用、ありがちな3つの誤解について
「SIAM適用が目的…」ではない!
SIAMに限った話ではないですが、組織にフレームワークを適用する目的はただ一つ、組織の課題解決および価値創出につなげることです。よって、「これからはITILではなくSIAMが主流のようだから…」「複数のサービスプロバイダ管理といえばSIAMだから…」「アウトソーシングの管理はSIAMがよいみたいだから…」という曖昧な目的でSIAMを適用すると、計画段階でビジネスケースが成り立たず、プロジェクトオーナーから承認を得られなかったり、導入が始まっても関係者の協力が得られなかったりする場合があります。また、最終的にはSIAMを適用することが目的化してしまうと、本来の課題解決や価値創造とは遠くかけ離れた結果しか得られず、多くは失敗に終わります。
もし、曖昧な目的でSIAMの適用を考えているのであれば、少し立ち止まって「何のためにSIAMを適用するのか?」について、自組織の課題を起点に再度整理しましょう。場合によっては、SIAMではなく、別の方法を試した方が適切な解決策が見つかるかもしれません。なお、第1回で「SIAM適用による効果」としてSIAMが解決できる一般的な課題をご紹介していますので、参考にしていただければと思います。
「SIAMはITILを置換するフレームワーク…」ではない!
第1回の記事の中で、「ITILとSIAMの主な違い」をご紹介しました。違いがわかりやすいように比較として表現しましたが、SIAMを適用すればITILは必要がなくなるという意味ではありません。むしろSIAMはITILを適用された組織がベースになっており、相互に補完する関係にあります。
実際、SIAMプロセスガイドに記載されているプロセスは概要のみとなっており、プロセスの詳細はITILやISO/IEC20000(ITサービスマネジメントに関する要求事項を規定した国際規格)など他のフレームワークを参照するように推奨されています。また、この相互補完の考え方は、ITILとSIAMの関係に限った話ではありません。SIAMファンデーションの書籍の中では、COBIT、DevOps、Lean、Agileなどさまざまなフレームワークとの関係性が記載されていますので、ご興味ある方は是非一読していただければと思います。
SIAMから少し話がそれてしまいますが、昨今のデジタル時代時代に適応するためのサービスマネジメントフレームワークとして、最近リリース(およびアップデート)されたVeriSM(コラム参照)およびITIL4があります。これらの共通要素として、「組織が達成したい成果に応じて最適なフレームワークを組み合わせるアプローチ(テイラードアプローチ)」を採用している点は非常に興味深いと感じています。従来の「1つのベストプラクティスを適用」という考え方から、「複数のフレームワークを組み合わせる」アプローチへとサービス管理が変化しており、その活用する1つのフレームワークとしてSIAMが存在することを理解いただければと思います。