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BizDev大解剖

デジタル時代の新スタイル 組織横断して事業を推し進める「BizDev」とは?<後編> 

 テクノロジーによりビジネスモデルが大きく変化し、ユーザーにとって価値のあるサービスの提供が多くの企業にとって喫緊の課題となっています。それらは単一の組織で解決することは難しく、時には部門はもちろん企業の壁すらも超え、新たな事業開発に取り組まなければなりません。そういった事業をうまく進めるため、あらゆる組織を横串でインテグレートするキーマン「BizDev」について、フリーランスBizDev/Technologist 佐野和哉さんが解説します。<後編>(→前編はこちら)

これからの時代に必要な人材「BizDev」

 前編では、BizDevという仕事についての概要を解説しました。BizDevは主に組織の中でいろいろな組織間の折衝を図り自社事業をうまく回していくための仕事です。そのため私のように組織に所属せずフリーランスでBizDevを名乗る人はそう多くはありません。BizDevに活きる資質とは何かを解説します。

BizDevに活きる資質について

 前編でも紹介した"Doing Biz Dev"からBizDevの定義を引用します。

 ● BizDevのやること
  ・グロース(サービスの成長)を引き起こす
  ・マーケット(市場)を試す
  ・お客さんに布教する
  ・ネットワークを築く
 ● 持つべきスキル
  ・ウソ発見器になれ
  ・ひとりでメシを食うな(アメリカで流行ったビジネス書のタイトル)
  ・人が会ってくれるようになれ
  ・取引を決めろ
  ・他人にナイスに振る舞え

 やることや持つべきスキルを並べると「営業」と近いものと言えます。日本語の「営業」が指す仕事も多様で、例えば飛び込み営業と既存顧客の営業でも全く異なります。「営業」の中に英語でいうSalesとProject Managementが混ざっていたり、その度合いが会社や仕事によって大きく異なったりします。BizDevは、いうなれば「専門的なこと以外全て」を指すのですが、「専門的なこと以外全部やる」こと自体の専門性は、重視されにくく気づかれにくいですが、実はかなり体系的なスキルがあります。

 私個人を例にすると、私自身のバックグラウンドとして広告代理店の既存顧客の営業だったこともあり、予算とリレーションをうまく使って社内外の様々なプロフェッショナルの方と一緒にいい形を設計し実装まで持っていく、「Project Management度合いの高い営業職」が職能的にかなり近いです。

 大手広告代理店の営業職も、規模の大きさゆえ「営業」と言いながらも施策の実施まで無事故で進めるスキルが重要になることも少なくありません。一般的な「営業」から見るとかなり特殊ですが、基本的にBizDevとやっていることは非常に近いです。

 フリーランスでBizDevをやると、組織や事業それぞれの置かれた状況でそこに適した解決策を見つけるために、それぞれのステークホルダーに話を聞いたり動いたりします。その中で、「会社それぞれの事情は世間的に当たり前のものではない」ということも見えてきました。

 BizDevのような仕事は、例えばエンジニアやデザイナーのような「手に職系フリーランス」と違い、成果で見せにくくまだまだ外注が難しい仕事です。会社の重要な情報まで含めて見せたり、判断を社外の人に手伝ってもらったりするのはハードルが高いです。

 だからこそ多くの企業にとっても、BizDevのような組織横断的に事業をコーディネートするスキルのある人が必要なのではないでしょうか。

次のページ
BizDevが活躍するプロジェクト事例

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この記事の著者

佐野和哉(サノカズヤ)

 1991年北海道遠軽町生まれ。新卒で大手広告代理店にて営業として勤務した後、岐阜県立情報科学芸術大学院大学(IAMAS)に進学し、地域コミュニティとウェブメディアに関する研究を行う。修了後は株式会社QUANTUMにて大企業の新規事業企画に携わり、現在はフリーランスのBizDev/Technologistとして、主に地域コミュニティや新しい技術が絡む領域の企画やプロジェクトマネジメントを行う。
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