5Gがもたらす世界は高速化だけではない
5Gの標準化プロジェクトは3GPP(Third Generation Partnership Project)で進められており、最終的にはITU(国際電気通信連合)の「IMT-2020」としてまとめられる。先述したように、5Gの大きな柱には高速化のほかにmMTCもあるため、米沢氏は「5Gまでには2つの異なるパスがある」と言う。モバイルデバイスの高速化への道と、MTC(IoT)の効率化への道だ。後者は既存のLTE-MやNB-IoTを発展させて5Gに合流させることになる。両者の標準化が合わさり、5G標準が完成する。
2019年明けから5Gサービスに関する発表も見かけるものの、現時点では「アーリードロップ」と呼ばれ、既存のLTEをベースに5Gを部分的に先行導入したものとなる。主に無線通信部分に5Gを用いて高速化する。2020年ごろまでの5Gは、こうしたLTEと5Gが混在したものとなる。
ほぼ5Gとなる本格的な5Gは「フェーズ1」と呼ばれ、2021~2022年ごろと見られる。アーリードロップとの違いはコアネットワークとSIMカードが5G対応する点で、5GのSIMカードが不可欠だ。続く「フェーズ2」でネットワークアーキテクチャが強化され、5G対応したIoTも混じり、5Gは完成することになる。