デジタル・プロダクト・マネジメントは、従来のプロダクト・マネージャーの業務範囲を拡大した新しい領域で、さまざまな設計原則と定量的なインサイトを利用して、プロダクトのビジョンおよび方向性、トレードオフに関する決定、差別化をもたらすカスタマー・エクスペリエンスについての情報をもたらすものだという。
今日では、プロダクト・マネジメント・イニシアティブの3分の2がビジネス戦略から切り離されている。重要な意思決定に生かすため、プロダクト戦略を定義して利用しているプロダクト・マネージャーはわずか16%しかいないことが、ガートナーが最近実施した調査で明らかになった。多くの組織が、戦略や設計、定量的な分析にはほとんど力を入れず、一方でプロダクト・マネジメントに過剰な投資を行っている。
5つのデジタル・プロダクト・マネジメント能力
ビジネスモデルの変革とプロダクトの成功を促す上で、下記の5つのデジタル・プロダクト・マネジメント能力が必要になると、ガートナーは考えている。
- データに基づいて意思決定を下す
- カスタマー・エクスペリエンスを念頭に置き、プロダクトやサービスを設計する
- デジタル・テクノロジがもたらすあらゆる機会を生かして、プロダクトやサービスを差別化する
- 既存のプロダクト・マネジメントのアプローチに、技術面およびビジネス面でのディスラプションの影響を組み込む
- 革新的なデジタル・チャネルを通じて、プロダクトやサービスを提供する
2023年までに、デジタル・プロダクト・マネジメントを採用し、これら5つの重要な能力を備えていることを自認するプロダクト・マネジメント・チームの割合は、2019年の2%未満から35%に増加するという。
ガートナーのアナリストでシニア ディレクターの桂島航氏は次のように話している。
「テクノロジ/サービス・プロバイダーのビジネスは、クラウドやAI(人工知能)などのデジタル・テクノロジにより、破壊的な変化の時期を迎えています。この淘汰の時代を勝ち抜くためには、デジタル・テクノロジを生かしたプロダクトとユーザー・エクスペリエンスを創出する新しい仕組みが必要であり、それを実現するための方法論が『デジタル・プロダクト・マネジメント』になります。プロダクト・マネジメントの導入が概して遅れている日本のテクノロジ/サービス・プロバイダーは、デジタル化に即した新しいプロダクト・マネジメントの概念を速やかに理解し、グローバル企業に対する競争力を向上させる手段として活用すべきです」。
なお、ガートナーは、東京で開催する以下のコンファレンスにおいて、上記の内容を含む最新のトレンドを解説し、知見を提供するという。
- 8月5~7日:「セキュリティ&リスク・マネジメント サミット」
- 8月30日:「ITソーシング、プロキュアメント、ベンダー&アセット・マネジメント サミット」
- 11月12~14日:「Gartner IT Symposium/Xpo」