前回は、DRBDを使ったPostgreSQLによるデータベースサーバの構築事例を紹介しました。最終回は、heartbeatを使ったNFSの冗長構成と、ldirectordを使った負荷加分散機能を組み合わせて、自律負荷分散型のWWWサーバを構築する事例について紹介します。
WWWサーバの冗長構成
WWWサーバの冗長構成は、一般的に負荷分散装置などを使って比較的簡単に構築することができます。しかしながら、負荷分散装置は各サーバ間のデータの一貫性を保証するわけではないため、システムを構成する各WWWサーバ間では、何らかの方法でデータの同期を取る必要があります。データの同期方法には、様々な方法がありますが、次のような方法が良く使われています。
個別のデータ更新
データの更新頻度が高くない場合には、すべてのサーバにデータを個別に更新することが可能です。特別な仕組みは必要ありません。しかしながら、この方法ではオペレーションミスなどによってサーバによってデータが更新されないという事態が起こりやすいという問題があります。
自動でのデータ同期
データサーバを用意し、各サーバへ自動的にデータを配置する仕組みを作ることでサーバ間のデータの一貫性を保証します。更新処理を定期的に実行することも可能です。rsyncなどのファイル同期ツールを利用することが多いようです。この方法では、データサーバをWWWサーバと兼用することも可能です。
ネットワークファイルシステム
データサーバのデータ領域をWWWサーバが直接参照するように設定すれば、それぞれが常に最新状態を共有できます。ネットワークでのデータ共有には、NFSなどの仕組みを使うことが多いようです。
この方法の利点は、データサーバに反映したデータが瞬時にWWWサーバに反映されることです。そのため、WWWサーバ上で動作しているWebアプリケーションが動的にデータを変更するようなケースでも正しくデータを共有することができます。
一方、この方法の最大の欠点は、NFSサーバに障害が起こると、すべてのWWWサーバのサービスが停止してしまうことです。
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- この記事の著者
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デージーネット 恒川 裕康(デージーネット ツネカワ ヒロヤス)
株式会社デージーネット 代表取締役。「より安全で」、「より快適で」、「より楽しい」インターネットの実現をテーマとして、クラスタシステムを使った高信頼サーバの構築、SPAM対策やウイルスチェック対策のためのソフトウェアの開発、携帯サイト向けのシステム開発など、オープンソースソフトウェアを活用した事業を展開して...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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