AI活用に不可欠な「アナリティクス・ライフサイクル」
畝見氏ははじめに、アナリティクス・ライフサイクルについて説明した。ここ数年、多くの企業がAI活用にチャレンジしているが、課題を解決し、ビジネス価値、つまり具体的な成果を上げるためには、アナリティクス・ライフサイクルがキモになるという。アナリティクス・ライフサイクルには、データ、ディスカバリー、デプロイメントの3つの要素があるとした。
「データ」は、企業内に散在しているデータを抽出し、十分にクレンジングし、加工・変換・結合しデータを準備していくこと。「ディスカバリー」は、準備したデータの中身を探索し、その結果に基づいてモデルを開発していく分析のフェーズ。「デプロイメント」は、開発したモデルを業務に実装するフェーズ。この一連のプロセスを、SASでは古くからアナリティクス・ライフサイクルと呼んでいる。そして、このサイクルを素早く回し続けることで、企業がビジネス価値を創出し、変化への対応力を高めることができる。
そして畝見氏は、このサイクルを素早く回すためには「自由と統制のバランス」が必要であるとした。自由は「選択の自由」であり、データソースはもちろん、プログラミング言語や人材(スキル)、分析手法を自由に選べることが重要。そして分析結果をビジネスに役立てるには、自由度が高いだけでは意味がなく、統制を効かせることが重要であると指摘した。データやモデルに対するガバナンスがあってこそ、信頼あるデータに基づく信頼あるモデルが作られ、そのモデルをデプロイ・業務に実装できるようになるということだ。