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週刊DBオンライン 谷川耕一

計画業務をつなぎ迅速化するAnaplanが評価されている理由


 来期の売り上げ計画や予算計画など、何かをプランニングする仕事は多く、それに時間をとられている人は多いだろう。大手企業などでは、次年度の予算計画のために半年ほどの時間を費やすとの話をも聞こえてくる。計画は立てれば終わりではない。それを実施し、達成度合いを計画とすり合わせる必要もある。そういった一連の計画に関する業務の手間を減らし効率化する。そのためのSaaSを提供し、大きくビジネスを伸ばしているのがAnaplanだ。

アナリティクスとプランニングに特化したPaaS

Anaplan 日本法人の社長執行役員 中田 淳氏

Anaplan 日本法人の社長執行役員 中田 淳氏

 “Analytics”と”Planning”を合わせたのがAnaplanの由来で、これは製品名でもあり企業名でもある。2つの要素を合わせているが「圧倒的にPlanningのほうに重きが置かれています」と言うのは、Anaplan 日本法人の社長執行役員 中田 淳氏だ。Anaplanが対象にする計画業務は、どのようなものでも良い。計画を作り実績データと比較する。プランAとBを作り、それぞれをシミュレーションし比較することが簡単にできるのがAnaplanだ。

 同社は2006年に英国で創業、2008年にプロトタイプ製品が完成し、その段階でより広い市場に打って出るため本社を米国サンフランシスコに移す。2010年に最初の顧客を獲得して以降、順調にビジネスを拡大、2018年10月にはニューヨーク証券取引所に上場する。Anaplanの2019年度のグローバル売り上げは2億4000万ドルほど、前年度対比で43%も成長している。すでに1100社を超える顧客企業があり、175社のパートナーもいる。

 市場では「計画業務のためのSaaS」と言われているが「アナリティクスとプランニングに特化したPaaSです」と中田氏。PaaSとしての特長にもなっているのが、計画業務に必要なデータを蓄積し処理するためのインメモリデータベースを持っているところだ。これは行追加がしやすいリレーショナルデータベースの特長と、高速な検索処理ができるカラムストアーの特長を併せ持つ。計画を策定しシミュレーションするための計算などは、この独自インメモリデータベースを使いリアルタイムに処理される。

 多くの企業において、さまざまな計画業務ではExcelが駆使されている。日本ももちろん例外ではない。個人で計画業務を行っているのならば、Excelは便利で使いやすいツールだろう。しかしながら複数が計画業務に関わる場合にExcelは向いていない。たとえば数百人の社員にExcelのテンプレートを配り、そこに次年度予算数字を入れてもらうとなれば、結果のExcelシートを集め誰かが手作業で数値を集計しているはずだ。これには大きな手間と時間がかかり、数値は間違っているかもしれず、データ管理面でのガバナンスにも問題が出るだろう。

 そもそも計画には、これからやりたいことの「意思」を入れ込む必要がある。たんに数字を積み上げ集計すればいいのではなく、議論をし試行錯誤しながら目標値を設定する。しかし現実は数字の積み上げ作業に膨大な時間がかかり、議論や試行錯誤に十分に時間を割けない。この計画業務の課題を解決する最適なツールとして作られたのがAnaplanだ。「Excelシートを集めるところは、なんら価値を生み出しません。そういった作業はAnaplanが自動で行い、計画のためのディスカッションに時間をかけられるようにします」と中田氏。

 Anaplanを使えば、何ヶ月もかかっていた計画策定の業務を大幅に短縮できる。短縮されれば1年に1回しかできなかった計画策定を複数回できるだろう。そうなれば計画の精度も向上するはずだ。さらに計画に必要なデータはAnaplanで一元的に管理され、ガバナンスも確保できる。また集められたデータを分析するのも容易となる。「AnaplanはERPのようにビジネスプロセスを統合するものです。ただし、計画のプロセスに特化して統合します」と中田氏は言う。

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さまざまな計画業務を1つのAnaplanで実現できる

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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