
今回はITが専業ではない事業会社で、いかにして自律的に動き価値を生み出すIT部門を作り上げていったのか、人材獲得、人材育成の観点から紹介します。
ゴールから逆算して必要な人材を採用する
第1回でも紹介したように、私がオープンハウスに入社した2014年当時、IT部門はパソコンのヘルプデスク業務のみを期待されていた部門であり、自らシステム開発をするような部門ではありませんでした。それでも私はIT基盤構想を練りあげ、その実現のために自ら動き、価値を生み出すIT部門へと組織を変化させてきました。
まず取り組んだのは、人材の採用でした。いきなりプログラマー、フルスタックエンジニアを募集するのではなく、会社の成長速度、規模を考えて、採用すべきスキルセットの優先順位をつけて採用計画を立てました。
目指すべきIT部門の姿から逆算すると、業務知識のある業務コンサルタント、システム開発するエンジニア、システム運用するエンジニアの3種類の人材が必要です。それに加えて、開発や運用の自動化、業務改善に向けたRPA、機械学習などの知識がある人材が必要でした。
そこで、求める人材のジョブディスクリプションをIT戦略から紐付ける形で、すべて自分で書き出し、そこに当てはまる人材を採用することに全力を注ぎました。
まず業務コンサル、システム開発、システム運用のチームを牽引するリーダーを採用。その後は優先順位に従って、その時々で必要となるスキルセットを持つ人材を採用していきました。チームビルディングの観点から、エンジニアのスキルセットの組み合わせも考慮しつつ、IT戦略の具現化のためのパズルピースを埋めるように進めていきました。

3つのチームのリーダーを早期に採用できたため、システムの規模は小さくとも自分たちで業務改善を行い、設計、開発、運用していくという内製化に舵を切る決断をしました。今振り返っても、当時内製化するのか、パートナー企業に任せるのかはQCD(Quality、Cost、Delivery)の観点から難しい判断でした。内製化でどこまで未来のオープンハウスを支えられるかはまったく未知数の中、選ばざるを得なかったとも言えます。その理由を紹介します。
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田口 慶二(タグチ ケイジ)
株式会社オープンハウス 執行役員 最高情報責任者(CIO)大手通信会社や外資系情報セキュリティ会社にて、インターネット黎明期より国際標準化仕様策定、EC基盤開発、多業種IT戦略コンサルティングに従事。インターネット技術を活用した戦略マーケティング、新規事業開発を加速。2014年 株式会社オープンハウ...
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