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SaaS/サブスクリプションはDX時代の成長ビジネス【ITR×チームスピリット対談】

edited by Operation Online   2019/12/23 06:00

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展による経済環境の激変が予想される中、経営者はビジネスチャンスをどこに見出せるのか。2018年8月に東証マザーズ市場に上場を果たした日本を代表するSaaS企業の経営者と、日本のエンタープライズSaaS市場をよく知るITアナリストの二人がサブスクリプション/SaaSビジネスについて語り合った。この記事ではその対談の模様をお届けする。

サービスにシフトする経済

株式会社アイ・ティ・アール 取締役/リサーチ統括ディレクター/プリンシパル・アナリスト 金谷敏尊氏

株式会社アイ・ティ・アール 取締役/リサーチ統括ディレクター/プリンシパル・アナリスト 金谷敏尊氏

金谷:10月の「IT Trend 2019」で私が話した講演内容を簡単に紹介させてください。サブスクリプションビジネスの背景にはサービス産業へシフトする経済があります。ソフトウェアは言わずもがなで、自動車、アパレル、外食、家電製品など、あらゆる業種業態で顧客の需要は所有型から利用型に変化しています(図1)。企業経営者の視点で見ると、特定顧客からの売上依存度を下げ、安定的なビジネス成長が期待できる点は大きな魅力でしょう。

図1:所有から利用へ向かう中で生まれた新しいビジネス 出典:アイ・ティ・アール

図1:所有から利用へ向かう中で生まれた新しいビジネス 出典:アイ・ティ・アール

 とは言え、サブスクリプションビジネスへの転換には多くの課題があると思います。ITRのビジネスに関係するテクノロジー業界は真っ先に主戦場になったこともあり、お客様からアドバイスを求められることが増えています。サブスクリプションビジネスに関して特に多い質問分野が「価格競争力の向上(プライシング)」「サービスパッケージング」「部品・素材メーカーとしての打ち手」「サブスクリプションビジネス運営(と必要になるテクノロジー)」「成長エンジン(モニタリングするべきKPI)」「サービスカンパニーへの転身に伴うチャレンジ」の6つです。

  この現状を踏まえ、私は論文『IT産業における製品販売からサブスクリプションサービスへのビジネスシフトに見る重要成功要因の研究 ── An Investigation of the Critical Success Factors in Shifting from Product Sales to Subscription-Based Service in IT industry(英国Anglia Ruskin University)』を執筆しました。その調査過程で得た結論は3つあります。第一に「サブスクリプションビジネスは売り切りモデルとは全く違うことを理解すること」、第二に「サービスビジネスへのシフトでは中長期的なチェンジマネジメントが必要になること」、第三が「新たに設計されたサービスが誘引する新たな顧客層を見据えること」です。とかく華々しい側面だけが目立ちますが、実践する側にとっては産みの苦しみを伴うのがサブスクリプションビジネスだと思います。

荻島:今の3点はデジタルトランスフォーメーション(DX)で必要になることそのものだと思いました。ソフトウェアの販売方法には、受託開発、パッケージ、SaaSの3つがありますが、お客様に提供するものは、それぞれ労働力、利用権、期間当たりの便益と少しずつ違います。売り方をどう変えるかを考えると、「サービス化」は重要なキーワードになりますね。

金谷:私たちが継続的に調査しているソフトウェア市場では、SaaSが多い分野とそうではない分野があります。例えば、グループウェアやセキュリティの一部ではSaaSやサブスクリプションが既に当たり前ですが、ERPにおけるSaaS利用率はまだそれほど高くありません。MicrosoftやAdobeSytemsなど成功例もありますが、実際はSaaS化に躊躇してきたベンダーも少なくありません。メガベンダーほど難しいのだと思います。

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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