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【チームスピリット×Zuora対談】サブスクリプションビジネスの本質は価格に見合った価値の提供にあり

edited by Operation Online   2020/03/19 06:00

サブスクリプションビジネスの本質、そしてDXの本質

Zuora Japan 代表取締役社長 桑野順一郎氏

Zuora Japan 代表取締役社長 桑野順一郎氏

桑野:日本でも様々な業界に「サブスクブーム」が拡大しています。Zuoraの導入もチームスピリット様のようなSaaS企業の導入が先行していましたが、製造業やメディアの導入例も出てきました。ここ半年の面白い動きとしては、金融やユーティリティの企業の導入が決まったことがあります。

 電気・ガスのようなユーティリティ事業者や通信キャリアは、既存ビジネスのための請求システムを持っているのですが、そこに新しいサービスを載せようとすると半年から1年が必要です。それではビジネスチャンスを逃してしまうことになりますし、プライシングの試行錯誤を繰り返そうとすると既存のシステムでは変更に柔軟に対応できません。ですから新サービスはZuoraでとなるわけです。

 金融も新しいディスラプターが市場に参入してきているので、既存の金融機関も手数料に依存したビジネスから自分たちのお客様に価値を提供して対価を得るビジネスモデルに変えて行こうとしているのです。

荻島:その意味ではDXですね。私の著書で最も言いたかったことが「DXではビジネスモデルの変革が必要」ということです。今の話に出てきた金融だけでなく、他のレガシー産業が新しいビジネスモデルを導入する際の切り札になるのがサブスクリプションモデルなのだと思います。既存のビジネスをしている企業がDXに挑戦しやすい環境になったわけで、今やらなくていつやるのかと思いますね。

桑野:ディスラプターの存在感が目立ち始めたレガシー産業の動きは早い。変わらざるを得ないからだと思います。その一方で、サブスクブームのためか、多くの新しいサービスが出てきているものの、私の目から見ると、短命で終わりそうなものも多いのが残念です。

荻島:サブスクリプションビジネスの基本はモノではなく価値を提供することです。このことはこれまでも言われ続けてきましたが、単なるマーケティングのメッセージで終わっていたように思います。サブスクリプションという期間に応じた課金に対応するようにしたことで、私たちの提供する製品は、モノの売り切りではなく、実際に利用する事で得られる純粋な顧客価値に変わってきたと感じています。

桑野:荻島さんが言うように、重要なのは価値の収益化です。クルマや外食など様々な消費財のサブスクリプションが話題になりますが、購入や支払いの方法が変わっても、従来以上の提供価値を見出せていないと苦戦してしまいます。

 プロダクト中心の時代は良いプロダクトを作り、既存チャネルを使って、とにかくたくさん売ればよかった。誰がお客様かを知る必要はありませんでしたが、今はモノが売れない時代です。サブスクリプションビジネスではサブスクライバーを中心に据えるだけでなく、直接つながることが不可欠です。その上でニーズの変化を捉え、永遠のベータ版として変化し続けるサービスを介し、価値を提供し続ける必要があります。売った後が始まりで、そこからどれだけ価値を提供し続けることができるかが問われています。

 私たちはDXの本質を「プロダクトから顧客への回帰」と考えています。モノを作っていた会社も最初は自分たちで売り歩いて、売れるようになるまでフィードバックをもらいながら改良を加えていたはずです。改良を繰り返して売れるようになったまではよかったのですが、商圏を広げるためにチャネルを開拓し、もっとたくさん売れるようになった結果、顧客との接点を失ってしまった。もう一度顧客とつながり、フィードバックをもらいながら継続的にビジネスを進めるのがサブスクリプションビジネスなのです。


著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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