DXのためにシスコがビジネス、アプリ、インフラまでの可視化や最適化を実現
当日はハイブリッドやマルチクラウドを想定し、ビジネス、アプリケーション、インフラまで幅広く、リアルタイムの可視化や最適化を実現する製品群も発表された。これはAppDynamicsを発展させ、DXを推進する上で直面するチャレンジやリスクを克服するための製品群とも言える。
DXで企業が直面する課題で見ていくと、大きく分けて3つある。1つめはアプリケーションの論理接続を把握し、全てのユーザーやトランザクションの性能を監視すること。ここはアプリケーションパフォーマンス管理のAppDynamicsが担うことができる。
今回はこのAppDynamicsを機能強化した「AppDynamics Experience Journey Map」が追加された。これはユーザーがアプリケーションでたどる動線を可視化するだけではなく、ボトルネックとなるステップをビジネスへの影響も含めてリアルタイムに表示する。アプリケーションで問題が起きたときにどこから修復すればいいかの判断に役立つ。
DXにおける課題の2つめは動的な資源の最適化だ。マルチクラウドやハイブリッドクラウドをベースとすると、十分なパフォーマンスは欲しいものの、リソースが潤沢すぎると過剰な課金(コスト)が発生してしまう。リソースを柔軟に調節して最適化を図る必要がある。
そこでAppDynamicsが性能を監視して、リソースのオートスケーリングなど取るべきアクションがあると、今回新発表となる「Cisco Intersight Workload Optimizer」に渡してアクションを実行する。これはCisco Intersightの拡張となる。
内田氏は「これからシスコとAppDynamicsが目指すのはデジタルビジネスを円滑に成功するための次世代の管理環境です。企業システムの中枢神経を担うものとしてCNS(Central Nervous System)ビジョンと呼んでいます」と話す。
DXにおける課題の3つめはコンテナやKubernetesの監視と最適化だ。2019年4月にIDC Japanが発表した調査によると、2021年には企業が稼働しているアプリケーションの40%がコンテナ化されると見られている。ただしコンテナ関連製品の多くはオープンソースで、扱うにはまだ難易度が高い。
そこで今回新しく発表されたのがコンテナ向けHCIプラットフォーム「Cisco HyperFlex Application Platform(HXAP)」。Kubernetesのコンテナクラスタ管理からハイパーバイザーも含まれている。管理はCisco Intersightを使う。
こうしてシスコはネットワークやインフラからアプリケーションまで、また従来型から最新型のアプリケーションまで、マルチクラウドやコンテナ環境も視野に入れて最適な運用を目指している。