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在宅期の社員の不安・ストレスの把握と対処法――SAP、クアルトリクスの取り組みから

edited by Operation Online   2020/06/04 08:00

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除された後も、多くの企業がリモートワークを引き続き社員に推奨している。長引く在宅勤務の中で、浮上してきているのが社員の身体的・精神的なストレスや不安の問題だ。企業にとっては、社員の状況を把握し、適切なフィードバックと舵取りをおこなっていくことが必要になる。こうした中、SAPとクアルトリクスはテレワークに関する従業員の調査の結果を発表した。両社の発表からは、テレワークの理想と現実のギャップが明らかになり、従業員が抱える問題の解決への道も示された。

従業員のエクスペリエンス管理とは

 長引くリモートワークの状況では、社員の健康や精神面でのケアが重要になる。企業にとっては社員の状況を把握することが必要となるが、今回の新型コロナウイルスといった新たな状況には、従来のような定型的で時間のかかる社員調査では難しい。そこで役立つと考えられるのが、「パルスサーベイ」だ。社員の満足度や不満、意欲を、脈拍(パルス)を測るように常態的に把握し、改善につなげていくというものでここ数年、エンジニアの採用やエンゲージメントの必要性から活用されてきた。

 XM(エクスペリエンスマネジメント)のサービスを提供するクアルトリクスは、これまでのサーベイのノウハウを活かし、リモートワークを行なう従業員向けの調査のテンプレートを公開した。これはリモートで働く従業員の状況を確認し、従業員の意見や提案の声を収集することで、対応策につなげていくことを目的にしている。特徴は、ウィザードを通じて簡単にアンケートを作成できることだ。アンケートは匿名リンクのURLで配信され、ブラウザやスマホで回答され、レポートも即座に表示される。3月に米国でリリースされ、すでに8,500社以上、31,000以上のユーザー、プロジェクトで採用され、日本でも4月から100社以上に利用されている。

 クアルトリクス日本法人のカントリーマネージャーの熊代悟氏によると、こうしたサーベイは従業員への強いエンゲージメント(繋がり)を生むという。「会社からアプローチされていることや、質問されること、自分たちの提案が共有されること」を非常に好意的に受け止め、「従業員と会社との新しいコミュニケーションの機会となり、両者の信頼度が向上した」と語る。

SAPジャパンの取り組み

 SAPジャパンの鎌田祐生紀氏からは、同社の新型コロナウイルス対応の経緯と調査について報告がなされた。同社は1月末に新型コロナウイルスへの注意喚起を全社にアナウンスし、2月中旬にはテレワークの推奨と上限撤廃、18日には全社員がテレワークに移行した。今回の調査はグループ会社でもあるクアルトリクスのツールを用いた。SAPは「クアルトリクスのヘビーユーザー」だと鎌田氏はいう。以下が新型コロナウイルス問題の発生以降の流れで、調査は3月と4月の2回にわたり全従業員を対象に行われた。黄色の枠で囲まれた部分が、調査の結果によって採られたアクションとなる。

初期調査ではポジティブなコメント目立つ、物理的な障害の除去に注力。

 第一期のサーベイは3月6日〜13日の期間で行われた。SAPはこれまでもテレワークを導入はしていたが、全社導入は今回が初めて。鎌田氏によると「最初の時期は、けっこうポジティブ」で、「仕事に集中できる」「感染の不安がなくて良い」「通勤が無くなり時間が有意義」「家族のケアをしながら仕事ができる」など前向きなコメントが多かった。ネガティブな意見としては、物理的な障害に関するものだった。例えば、「捺印や印刷、経費精算」「テレワークのための申請」「家庭での通信環境」などだ。一方、不安やストレスについてのコメントもあり、コミュニケーションの問題から社内でのトラブルなども発生していたという。

 この調査結果を受け、まず実行されたのは物理的な障害を取り除くことだ。たとえば、経費精算の領収書の原本の提出を不要にする、テレワークの申請を簡素化する、捺印をオンラインにすることなどのプロセスの改善などである。DXを牽引する立場のSAPといえども、日本のビジネス慣行の中でアナログなプロセスは残っていた。今回の施策によって、そうしたプロセスを除去したといえる。またこの時期に、海外出張禁止、イベント関連の中止、大阪事務所の一時閉鎖などをおこなった。この時期の心理的な不安を除去することも課題となり、社長からのビデオメッセージや、サーベイ結果を社員に公開することによる悩みの共有なども行われた。

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著者プロフィール

  • 京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

    翔泳社 メディア事業部 編集委員。EnterpriseZineの他、翔泳社のメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、EnterpriseZineをメインに取材・記事・コンテンツ制作にも対応。 kyobe(a)shoeisha.co.jp

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