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セールスフォースが提供する危機克服戦略、Leading Through Changeとは(後編)

edited by Operation Online   2020/06/22 10:00

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、4月からグローバルでLeading Through Change戦略を進めてきたセールスフォース。国内では5月25日の緊急事態宣言の解除以降、徐々にビジネス活動の再始動が始まっている。同社は危機を乗り越えた後の企業をどのようにサポートしていくつもりなのか。同社執行役員の安田氏に、戦略ロードマップにおけるステージ2以降のこれからの計画について訊いた。

日本政府の方針に則して次のステージに移行

――国内におけるセールスフォースのこれからの戦略についてお尋ねします。前回の記事で、今はLeading Through Changeの戦略ロードマップでは「ステージ1:会社の安定化」から「ステージ2;事業の再始動」に移行する手前にいると伺いましたが、ステージ2および「ステージ3:ビジネスの成長」に移行する目安はそれぞれいつ頃になると想定していますか(図1)。もちろんカレンダー通りに進むとは限りませんが、基本的な考え方をお聞かせください。

 いつから次のステージに移るかというより、基本的には日本政府の方針に合わせます。緊急事態宣言は解除されましたが、当面はこれまでの方針を継続し、社員にはリモートワークを推奨します。お客様先への訪問については、承認を受けた一部社員のみ認めるなどの措置を開始したところです。外出自粛が緩くなったことで、以前のような対面でのやり取りの再開を期待するところですが、全ての人の安全・健康を第一に、受付での検温や除菌ジェルの使用などのガイドラインを整備し、運用に向けて進めていくことになります。

図1:戦略ロードマップとしての「いま、私たちにできること」の3つのステージ (出典:セールスフォース・ドットコム)
図1:戦略ロードマップとしての「いま、私たちにできること」の3つのステージ (出典:セールスフォース・ドットコム)

――何かKPIを設定し、条件を満たしたら次のステージに移るという運用をしているのでしょうか。

 いいえ。現時点ではステージごとのKPIのモニタリングをして次のステージへの可否を判断する運用はしていません。とは言え、データはたくさん集めています。例えば、リモートワークに移行する前と後で生産性がどう変わったか。残業時間がどの部門でどれだけ伸びているかなど、データドリブンで今後の制度運用を改める材料を得ています。実際、リモートワークに移行しても営業の生産性は活動量の観点からは低下していないことが明らかになりました。オフィスに出勤とリモートワークの新しいバランスを考えられるという判断ができますし、お客様の状況を鑑み、優先順位をつけてどの部門から出社を求めるかを議論する材料にすることもできます。

 データ収集だけでなく、人事ではアンケートを実施していて、リモートワーク期間中にどんな不便を感じていたかを細かく確認することもしています。これもこの後の施策に活かすことになると思います。少なくとも、日本のセールスフォースでは2020年中は希望する社員には、リモートワークを認める方針です。基本は自分自身と家族の健康を守りながら、徐々に対面でのお客様との時間を増やすように判断してもらうことになります。

――セールスフォースでは危機当初から90日間は大規模なレイオフを実施しない方針を表明していました。差し支えない範囲で雇用についての今後の方針も教えていただけますか。

 CEOのマーク・ベニオフは4月にアメリカCNBCの番組に出演した際にこのようなメッセージをしています。今はまだ危機的状況、いずれ回復時期が必ずやってくる。それまでは、企業CEOは一時解雇しないでほしい。90日間 一時解雇をしないことを宣誓してほしい(90-day no layoff pledge)。この背景には、そのころ既にアメリカの失業保険申請が最大の664万件に登っていたということもありますが、マークは創業時から常々「ビジネスこそが社会をより良いものにしていく最高のプラットフォーム」であると言い続けてきており、それが当社の一つの重要な価値基準にもなっています。

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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