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加藤恭子のエンタープライズIT業界の歩き方

エンタープライズIT業界特有のマニアック英語、なぜ必要?

連載第3回

 IT関連のメディア記者を経験し、エンタープライズIT系のベンダーを経て、PR会社ビーコミ社長としてB2B系の企業広報を手掛ける加藤恭子のコラム第3回。今回は、IT業界の英語について。大事なコトは英語で語られるのは何故? という疑問について語ります。

 エンタープライズITの世界で目につくのは外資系企業の活躍です。セールスフォース、SAP、マイクロソフト、IBMなど、様々な巨大企業が日本法人を構えてビジネスを展開しています。

 もちろん日本企業もたくさんあります。自社プロダクトを持っている会社と、販売や導入支援・運用に強みのある会社があります。テレビでCMを見かけることもありますし、いくつかの業界団体もあります。例えば、1992年に発足、230社を超える会員がいる、日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)、コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)、それから、MIJSコンソーシアム(Made In Japan Software & Service)もあります。私が短期間ですが在籍していた、中堅中小企業向け会計分野で高いシェアを誇っている某S社も、日本企業です。

 人材の流れを見ると、外資系は外資系で、日本企業は日本企業の中で転職する印象を受けます。もちろん、日本企業から外資系という人もいるのですが、聞いてみると外資系で5社目などという人もざらにいて、外資系ITと日本企業ITでグループが分かれているのかもしれません。

 ではなぜそのエンタープライズITの世界で「英語が必要なのか」です。

マニアックなカタカナ語を乱発!

 まず、ルー大柴語(例えが古い? カタカナ語)が多いことです。
 文法は日本語ですが、社内での会話に英語由来のカタカナが圧倒的に多いのです。そのカタカナになって日本語の中に混ぜ込まれている英語の意味を理解しないと、会話が成り立たない場面があるのです。

 例えばこんな会話です。

「業績が悪くてヘッドカウント(人材募集枠)も無くなるし、もちろんマーケティングバジェット(マーケティング予算)もカットだって。やりかけのプロジェクトもペンディング(停止)だって」

「え?そうなんだ? 昨日のパイプラインミーティング(見込み客のステータス確認会議)では、そんなこと言ってなかったけど」

「ジャパン(日本法人)は意外と好調なんだよね。でもグローバル(世界)で見るとすごく悪いんだよ。これ、本社のバジェット(予算)だから。あ、一昨日のオールハンズ(全社会議)でなかったの?説明してたよ。レコーディング(オンライン会議の録音されたもの)あるから後で聞きなよ」

 さらにはそのカタカナ語は会社毎に「方言」もあります。例えばA社だとコールは電話することですが、B社だと顧客訪問という意味です。とはいえ、共通のものも多いのですが。

 これは、知っているとやりとりがスムーズになります。

英語しか通じない人と会話

 次に、これは外資系の話ですが、共通言語が英語しかない場合がある、ということです。

 私が会社員時代に働いていた某ERPベンダーでは社長が外国人、それ以外のマネジャー、ディレクターは日本人ばかりだったのですが、社長に通じるようにみんなで英語で話す必要があるという理由で会議はすべて英語でした。こう書くとスゴそうですが、みんな英語が得意なわけではありません。特に営業担当は日本国内で売ることが目的のため、それほど話せない人が多く、んー、あーと詰まりながら一生懸命話している感じでした。

 その中に、下着メーカーから転職してきたプリセールス担当の40代男性がいました。入社当初は全く英語を話せなかったのですが、外国人上司との会議や海外への出張などを重ねるうち、1年後には英語でプレゼンをするまでになっていました。この時の社長が「XXさんはすごい。全然英語話せなかったのに1年でペラペラになっちゃった」という驚いていました。40代になってからの英語の勉強を諦める人もいますが、やればできるんですよね。

大事なこと、新しいことは英語で書かれてる!

 次に技術用語や文献が英語であることです。

 最初の例はほぼ外資系企業の例なのですが、日本企業であっても、技術用語や文献が英語であることが多いのです。自社製品を持っている会社に勤務していても、その自社製品を語るとき、自社製品と連携する製品を語るときには、必ずと言っていいほど海外の技術が出てきます。

 ポジションにもよるのですが、深掘りしていくと資料が英語しかないことも。場合によっては英語で問い合わせないといけません。そうなると圧倒的に英語が読めたり書けたり話せたりしたら仕事がはかどります。

補足:シリコンバレー流の日本のスタートアップ

 これは厳密には英語という言葉の問題ではないのかもしれませんが、触れておきたいと思います。
「シリコンバレー式」、ではないですが、エンタープライズITの世界のビジネスが、英語圏、特にシリコンバレーのルールで構成されていることがあります。その理由は以下です。

  • シリコンバレーで成功している、した企業のやり方を取り入れる
  • 社長や幹部が米系IT企業の出身で、今まで体験してきた評価方法や体制、会議の進め方を自社に持ち込む

 例えば、昨年大変に話題になったOKRなどもそうです。オフィスレイアウトなどにもこの傾向が現れています。日本企業であっても、英語圏の仕組みを取り入れたビジネスの進め方になっているので、この辺りも知っておく必要があります。

目指すポジションで必要な英語スキルは変わる

 もしこれを読まれている方が外資系IT企業の社長を目指すのであれば、高度な英語力(文章読解、プレゼンテーション、本社の説得などが難なくできるレベル)、そして外資系IT企業の意思決定の方法やビジネスルールの理解が必要でしょう。

 でもそこまで目指す人は、ごく一部だと思います。個人的には、ある程度「使える」というレベルを維持するのが大事だと思っています。相手の言っていることがわかる、読める、基本的なことが話せる。定番の仕事の進め方を知っておく。そこを目指すと、変化の激しいエンタープライズIT業界で長く働けるのではないでしょうか。

 あ、自分のことを書いていませんでした。私は、長期留学したこともなければ、英語が得意なわけではないので、日本のIT企業を経て外資系IT企業に転職した後は自分の英語力のなさに愕然としました。某CRMの会社にいた時の議事録には、私が発言した箇所になんと「聞き取り不能」の文字が…。また、毎年のように海外のリゾート地に集まって表彰されたり会議をしたりすることにも戸惑っていました。MBOという言葉も初めて聞き、何をどうしたらいいのか困った経験もありました。

 後編では、英語があまり得意ではない人がどう勉強してかろうじて生き延びたか、最近使っている英語力を補うツールなども紹介したいと思います。

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この記事の著者

加藤 恭子(カトウ キョウコ)

IT記者を経て、ナスダック上場IT企業のマーケティング・PRマネジャーを歴任。 現在は、その経験を活かし、マーケティング・広報のコンサルティングを行う株式会社ビーコミの代表として活動。日本PR協会認定PRプランナー

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