ユーザー企業のIT部門のみなさん!「プロジェクトが成功するかどうかはベンダー次第」なんて考えていないでしょうか。業務の基盤となるシステムは、ベンダーへ開発を丸投げするものではなく、協力して作るものです。そのためには、発注側としてもプロジェクトマネジメントの知識やノウハウを身につけることが大切です。本連載では、プロジェクトマネージャが持つべき知識やスキルをご紹介していきます。第2回は、ユーザー企業における2種類のPMについて、仕事とスキルを見ていきます。
「PM」=「プロジェクトマネージャ」とは限らない
“PM”と言えば、「プロジェクトマネージャ」と、わたしたちは反射的に理解してしまいます。しかし、実際には、ユーザー企業のPMには、2つの種類があります。それは、“Project”を指す「プロジェクトマネージャ」と、“Program”を指す「プログラムマネージャ」です。
「プログラム」と言っても、コードのかたまりであるプログラムを指すのではありません。運動会におけるプログラムと同じで、プロジェクトの一連のつながりを指します。
プロジェクトマネージャとプログラムマネージャは、仕事の内容が違うため、必要なスキルも異なります。次にそれぞれの仕事の特徴を見ていきましょう。
プロジェクトマネージャは、立ち上げから完了評価まで責任を負う
プロジェクトマネージャは、プロジェクトの立ち上げから実行、終結にいたるまでを統合的に管理し、プロジェクト完了後の評価にも携わります。このあたりは、前回の記事で解説したとおりですが、整理すると次のようになります。
- プロジェクトの立ち上げ
企画立案と関係者の合意取り付け
- プロジェクトの計画
スコープ定義、資源調達、品質保証、
コミュニケーション計画、スケジュール立案など
- プロジェクトのモニタリングと実行管理
進捗管理、費用管理、品質管理、リスク管理、
問題管理、コミュニケーション管理など
- プロジェクトの変更管理
変更要求の把握・分析、変更の承認、変更管理
- プロジェクトの終結
終了状況の確認、完了報告書の作成・報告、
成果物検収への対応
- プロジェクトの完了評価
完了後の評価、実績の収集・分析
情報システムは、業務のルールを論理的に記述しコンピュータ上のソフトウェアとして動かしているものです。したがって、ビルなどの建築物とは異なり成果(アウトプット)を目で確認するのは容易ではありません。
作業の進捗状況が目に見えにくく、そこに推進上のリスクがあります。プロジェクトマネージャは、進捗や課題といった視点で、計画に対するずれを早期に把握し適切な対策をうっていきます。
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克元 亮(カツモト リョウ)
IT業界で約20年にわたり、システム開発やITソリューションの適用支援、アーキテクチャデザインなどに携わる。現在は、プロジェクトマネジメント、マーケティングに従事。著書には、『「しきる」技術 誰にでもできる超実践リーダーシップ』『この1冊ですべてわかる ITコンサルティングの基本』(日本実業出版社)...
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