コンテナでビジネス成果をあげるためのアプローチ
クラウドが常識化しつつある現在、企業ITのホットなテーマは3つある。
1)オンプレミスの業務アプリケーションをクラウドに移行すること、2)クラウドに移行した従来のシステムをクラウドネイティブにすること、3)クラウドのプラットフォームを移行し、複数のクラウドプラットフォームを使うこと――これらは、リフト&シフト、そしてマルチクラウドという言葉で語られてきた。そしてこのテーマの背景にあるのが、クラウドアプリケーションの可搬性(ポータビリティ)を高めるための基盤技術だ。
クラウド基盤上に構築された企業アプリケーションを周辺の複雑な機能群と共に固め、「コンテナ」に格納し、ビジネスの条件にあわせて移動させる。さらにそのコンテナの管理基盤であるKubernetesは急速に普及している。
群雄割拠するITメガベンダーの興亡の背景には、こうしたクラウドの基盤技術がある。AWS、マイクロソフト、Googleなどのメガクラウド企業もコンテナ、Kubernetes関連のサービスのリリースにしのぎを削る。
こうした中で、レッドハットは、かつてオープンソースのLinuxを企業向けに適合させたのと同じく、Kubernetesをエンタープライズに対応させ、OpenShiftとして提供してきた。現在その普及を加速させようとしており、パートナーを拡充している。
周知の通り、レッドハットはIBMに買収されたが、現在もその独立性は維持しており、オープンハイブリッドクラウドのポリシーを貫いている。
IBMとしては、先行を許したAWS、MSのクラウドの牙城を崩す目的のためにレッドハットのOpenShiftが喉から手が出るほど欲しかったと見る向きもあるが、むしろIBMが顧客のビジネス成長のために「オープンハイブリッドクラウド」を推進する戦略の一環という見方が正しいだろう。