機械学習、Deep Learningの技術で、大きく進化しているものの1つに機械翻訳がある。2016年9月に、GoogleがGoogleニューラル機械翻訳(Google Neural Machine Translation)を公開して、これが高い翻訳精度を発揮した。MicrosoftやIBM、さらに日本では情報通信研究機構(NICT)も機械翻訳に力を入れており、翻訳のサービスを展開している。これらの翻訳サービスを利用している人も多いだろう。とはいえ、いざ仕事など専門分野の文章の翻訳で使うとなると、専門用語に対応しておらず誤訳も多く修正に手間がかかる。また情報をクラウドサービスに預けて、それが翻訳機能の精度を上げるための学習に使われるとなると、セキュリティルール上問題となる場合もあるようだ。
企業がビジネス現場で利用できる機械翻訳サービス
企業が安心して利用でき、その上で業務にすぐに使える高い精度の機械翻訳サービスが求められている。そのための翻訳マネージメントソフトウェア「ヤラクゼン」を提供しているのが、八楽株式会社だ。
ヤラクゼンは、企業で利用することを前提とした翻訳サービスになっており、ユーザーが登録する「フレーズ集」と「用語集」をベースに自動翻訳を行う。翻訳エンジンには、Google、Microsoft、DeepL、NICTのもおのケースバイケースで選択して利用できる。翻訳したいWordなどのドキュメントファイルを、ドラッグ&ドロップするだけで翻訳が行われ、元の文書と同様のフォーマットで結果は得られる。表示された結果の上で直接修正すれば、修正結果はユーザーのフレーズ集に追加され蓄積される。
専門用語に対応できるかどうかは、機械翻訳の精度に大きく影響するだろう。通訳者が通訳する場合でも、たとえばIT分野に強い人とそうでない人では、IT業界のインタビューなどの通訳精度は大きく異なる。IT企業が集中する米国西海岸サンフランシスコ周辺には、最新のITベンダーでの通訳仕事を数多くこなしている通訳者の人が多く、新しい業界用語にも精通している。ところが東海岸のニューヨークなどには、あまりIT業界に詳しい通訳者の人がおらず、かなり通訳の精度が落ちてしまうのだ。ヤラクゼンでは自社でよく使うフレーズや用語をあらかじめ登録しそれらを翻訳に利用することで、顧客企業のニーズに合った翻訳を実現しているのだ。
ヤラクゼンの対応言語は、アラビア語、ドイツ語、英語、スペイン語、フランス語、インドネシア語、イタリア語、日本語、韓国語、ロシア語、タイ語、タガログ語、ベトナム語、中国語(簡体字、繁体字)など多岐にわたる。タイ語やインドネシア語、ベトナム語などに対応していることで、アジア地域にビジネスを拡大している企業のニーズにも対応できる。
利用はSaaS型で、5ユーザー月額12,000円から。各翻訳エンジンを利用するコストも、ヤラクゼンのサービス利用料には含まれている。既に帝人が1万ユーザー、ホンダが5000ユーザーなど全社レベルで大規模に利用している実績もある。「日本企業では製造や自動車関連の企業で多く採用さています。他にも化学メーカー、インバンド需要に対応するために小売業でも導入が進んでいます」と言うのは、八楽株式会社 代表取締役の坂西 優氏だ。
Webで公開されているGoogle翻訳を使うと、翻訳で使ったデータはGoogleにより二次利用されてしまう。ヤラクゼンでは各クラウドサービスベンダーに二次利用されることはなく、データを置く場所をプライベートクラウド化することも可能だ。基本的なセキュリティ機能は装備されており、結果的に「ヤラクゼンはのべ1000社ほどに採用されています」と坂西氏。