さらなる探求
アジャイルとは「あり方」である
正解はない
私たちはとかく正解を求めてしまいますが、ビジネスや経営にたった1つの正解が存在しないように、アジャイルにも正解はありません。Aというものが正しい方法論だったはずが、次の日にはAは間違いでBが正しくなっているかもしれないということです。
つまり、「Aを実践しているから正しいアジャイルを取り入れている」と思っていたのが、突如間違いとなってしまうこともあるわけです。そのことがアジャイルソフトウェア開発宣言の現在進行形の1文に表れています。
私たちは、よりよい開発方法を見つけ出そうとしている(We are uncovering better ways of developing)
この文では、「見つけた」という過去形ではなく、「見つけ出そうとしている」と現在進行形になっています。完璧な開発方法はまだ見つかっていないと考えているということでしょう。
英語の原文では「uncover」という単語を用いています。「cover」に否定を表す接頭辞の「un」がついた単語です。つまり、カバーを1つずつ外しながら、「アジャイルはどこにあるの?」「引き出しの中?」「戸棚の中?」「ゴミ箱の中?」と、あらゆる扉や蓋を開けながら探しているような状況を表現したいのだと、筆者(新井)は解釈しています。
もしアジャイルにとって正しいことは何かを明言するのであれば、「AかB」といった考え方ではなく、「AからBに変化できる姿勢」という柔軟さが、正しいということになります。
アジャイルになる(Be Agile)
「これだけをやっていればアジャイル」なんてものはありません。また、「これを会社に導入すればアジャイルになる」なんてツールもありません。チームとしてセイチョウし、顧客価値を最大にしていくために、たゆまぬカイゼンをしていくことが大事なのです。
重要なのは、アジャイルをする(Do Agile)のではなく、アジャイルになる(Be Agile)ことです。つまり、アジャイルとは「あり方」なのです。
プラクティスから始めよう
しかし、いきなりアジャイルに変身することが不可能なのも事実です。プラクティスと呼ばれるプロダクト、プロセス、チームをカイゼンする方法論や習慣がいくつもあるので、これらを真希乃たちと一緒に学びながら実践していきましょう。
プラクティスは単独で実践するよりも、複数を同時に実施した方が相乗効果を得られるのでおすすめです。アジャイルはプロダクトづくりだけでなく、プロセス、マインドセット、人にもフォーカスを当てています。プラクティスを通して、実践と学びのループを回しながら習得していきましょう。
アジャイルをすることで、徐々にアジャイルになっていけばよいということです。まだ旅は始まったばかりです。真希乃やチームメンバーとともに第一歩を踏み出しましょう。