SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

DX最前線

【Salesforce Ventures・DNX Ventures共同調査】なぜB2B SaaSはコロナ禍でも強いのか?

 2020年10月13日、米国セールスフォース・ドットコムの戦略投資部門であるSalesforce VenturesはDNX Venturesと共同で実施した「新型コロナウイルスのSaaS企業への影響に関する実態調査」の結果を発表した。この記事ではその結果のハイライトと、同日に行われたB2B SaaSスタートアップ企業でありアンドパッド、カケハシ、サイカ、チュートリアルの経営者4人が語り合うパネルディスカッションの模様を紹介する。

コロナ禍でもDXが追い風に

(左より)株式会社セールスフォース・ドットコム Salesforce Ventures 浅田賢氏/
DNX Venturesマネージングパートナー日本代表 倉林陽氏

 パネルディスカッションに先立ち、2020年1月にSalesforce Venturesの日本代表に就任した浅田賢氏(Salesforce Ventures 執行役員 日本代表)が登壇し、2020年7月下旬から8月上旬にかけて実施した調査結果を紹介した。この調査は同年4月にSalesforce Venturesの米国チームが実施した調査と同様のものになる。B2Bスタートアップを対象に、50社の投資先企業に調査票を送付し、39社からの回答を得た。その内訳は図1の通りである。

<p>調査概要と回答者プロファイル 出典:セールスフォース・ドットコム</p>

図1:調査概要と回答者プロファイル 出典:セールスフォース・ドットコム

 4月7日から5月25日にかけて、日本は全国的に緊急事態宣言下にあった。調査実施期間はこの最も苦しい時期を乗り切り、2020年のビジネスの着地点が見え始めた時期に相当する。まず、渦中の実績を振り返った結果を確認すると、2月から4月にかけては6割を超える企業で当初計画の75%以上を達成したことがわかった。しかし、続く5月から7月(調査時点では見通し)にかけては、当初計画の75%以上を達成できる見通しの企業は46%にまで低下している。

 未曾有の逆風の中で各社が打った手は、「コロナの影響が相対的に少ない顧客業界へフォーカス」「既存顧客のアップセルへの注力」「エンタープライズ向け営業に注力」の3つに集約される(図2)。ターゲット業界の変更は業界特化型のバーティカルSaaSでは難しいが、ホリゾンタルSaaSの場合は有効な手段と言えよう。また、4月から5月のように、強制的にリモートワークにならざるを得ない場合、新規顧客からの商談化は通常よりも時間がかかる。複数の製品を持つ企業の場合は、既存顧客へのアップセルへ注力先を切り替えることで危機を乗り切ったようだ。さらに、これまでエンタープライズ向けの製品を提供してきた企業は、SMBと比べて比較的経営体力のあるエンタープライズ向けの営業を強化する対策を講じていることもわかった。

<p>コロナ禍における営業戦略のフォーカス 出典:セールスフォース・ドットコム</p>

図2:コロナ禍における営業戦略のフォーカス 出典:セールスフォース・ドットコム

 続いて、コロナ前を100とした時の見通しを尋ねた結果を見ると、3分の1が計画通りかそれ以上の達成が可能と回答している。残りの3分の2は目標に届かないものの、計画から25%以上減少する見通しの企業は18%にとどまる。この結果と営業パイプラインについての回答傾向を見て、浅田氏は「予想したよりはポジティブで底堅い印象」と語った。商談化のプロセスはオンラインに移行せざるを得なかったが、新しい収益機会を発見したとする回答は7割を超え、ほぼ全ての企業でDXが追い風になると期待していることもわかった。

 SaaSビジネスで重要指標とされるチャーンレートの動向も比較的堅調である。浅田氏によれば、今年度通期のGross Churn Rate(GCR)については、37%が「変化なし」と回答している。10%以上のGCR上昇を見込む割合は約11%に留まったという。

次のページ
B2B SaaSスタートアップ4社、3月から4月にかけてのビジネスを振り返る

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
DX最前線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/13578 2020/11/06 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング