AutoMLでデータドリブン経営を実現する
とはいえ、切実なのは人材だ。優秀なデータサイエンティストもコンサルタントも、雇うとするとまとまった投資が必要になる。そうしたコストの問題を解決するのが、DATAFLUCTのマルチクラウドAutoMLサービスだ。
AutoMLとは、機械学習を自動化する技術だ。先述したような機械学習のライフサイクルを手動で回すなら、データサイエンティストでも最低1ヵ月は必要になる。しかしAutoMLはモデルの準備、評価、展開の部分を自動化するため、数時間でモデルが完成する。基本的にはデータをアップロードしてAutoMLを実行すればモデルができてしまう。AutoMLはデータサイエンスの世界を大きく変える技術なのだ。
原田氏によると、当初、AutoMLはオープンソースの機械学習ライブラリを中心に発展し、データサイエンティスト以外には敷居が高いものだった。しかし、2020年になると大手クラウドベンダーがAutoMLに本格参入しはじめ、いまや利用状況や認知度が急速に変わりつつある。原田氏は、「2021年以降、AutoMLの認知や活用が急速に進み、データサイエンスがより身近になると期待できます」と話す。
DATAFLUCTのAutoMLサービスは、月額5万円から利用できる機械学習プラットフォームであり、AWS、Azure、GCPのマルチクラウド環境でAutoMLを同時実行し、各クラウドで作られたモデルを比較して最適なものをデプロイすることができる。2020年12月1日のトライアル版のリリースを経て、2021年1月15日に正式版をリリースしたばかり(無償トライアルも受付中。詳細はサービスサイト参照)。
本サービスでは、PoCのモデル検証から実運用のMLOpsのサイクルをカバーできる。これにより、データドリブン経営の実現において壁として立ちはだかるPoCや実現可能性の部分が、簡易に、低コストで、高速化し、ハードルが一気に下がる。
機械学習のモデル作成を自動化したら、その先には機械学習の本番運用で壁が待ち構えている。モデルの精度はデプロイすると徐々に劣化していく。なぜなら、データ取得の背景にある社会情勢やビジネス情勢など、世界は常に刻々と変化しているからだ。
モデルは常に更新を繰り返す必要がある。そのため、継続的にモデルを更新できるようなMLOps(機械学習基盤)が必要になり、機械学習の周辺も含めた全体の設計が必要になる。だからこそ、多くの企業にとってDATAFLUCTのAutoMLサービスは魅力がある。
原田氏がCTOを務めるDATAFLUCTは設立してわずか2年だが、食品流通から不動産、スマートシティまで幅広い領域をカバーするデータ活用事業創出のプロフェッショナル集団だ。最後に同氏は、「プラットフォームの構築やデータ収集を自社ですべて実現しようとすると大変です。ぜひ、私たちのサービスもご利用いただき、より手軽にデータをビジネスに活用してほしいと思います」と呼びかけて締めくくった。