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「ジェネレーティブデザイン」でモノづくりを変える オートデスクの製品戦略

edited by Operation Online   2021/01/22 09:00

 前回に続き、パッケージアプリケーションの永久ライセンスの売り切りモデルからサブスクリプションモデルへの移行に成功したオートデスクの戦略を紹介。その成功要因となった、BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)、ジェネレーティブデザイン、コンバージェンスなどの製品コンセプトについて解説してもらった。

BIMで実現するコラボレーション

 日本におけるこれまでのモノづくりの仕事のやり方を振り返ると、設計者やデザイナーは主に紙の図面で仕事をしてきた。オートデスクは2次元CADアプリケーションのビジネスで成長してきた会社ではあるが、これから直面するモノづくり環境の変化を視野に入れ、3Dテクノロジーの活用を促すことを進めてきた。現在の同社は、顧客ニーズの変化を踏まえ、「連携・コラボレーション」「自動化」「コンバージェンス」「開発環境」という4つの柱を製品戦略の中心に据えている(図1)。

図1:オートデスク製品戦略の4つの柱 出典:オートデスク[クリックして拡大]

 第1の柱の「連携・コラボレーション」で重要な前提が、BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)と呼ばれる考え方である。BIMデータにはコンピューターで作成した3次元の形状情報に建物の属性情報が付加されている。たとえば、建物の壁の場合、従来のCADデータは形状の情報だけを含むが、BIMデータには材質、厚さ、提供メーカーなどの属性情報が付加されている。2つの見た目は同じでも、BIMデータは設計以降の後工程でのコミュニケーションや理解促進に役立つとわかる(図2)。

図2:CADデータとBIMデータの違い 出典:オートデスク[クリックして拡大]

 これまでの日本では設計は設計、施工は施工と工程ごとに個別最適化した3Dデータを使ってきたが、それが大きく変わろうとしている。かねてから深刻化する人手不足を背景に、国土交通省は2016年から「i-Construction」を掲げ、テクノロジーを活用することを奨励してきた。2017年11月に「3次元データ利活用方針」を発表。さらに2020年2月には2025年度に全事業でBIM/CIMの原則適用を目指す方針を示した。先行する海外と同様に、日本でも設計から施工、維持管理でも3次元モデルを活用し、プロジェクト全体における関係者間の情報共有やプロセス全体の効率化と高度化を進めることが期待されている。

 BIMが登場したのは1990年代と古いが、オンプレミス全盛期には建造物のライフサイクル全体を通して共通の3Dモデリングデータを共有するというアイデアを実行に移すのは難しかった。しかし、環境がクラウドに変われば話は変わってくる。Autodesk BIM 360は「Connected BIM(つながったBIM)」をビジョンに掲げる製品である。加藤氏は「クラウドをデータの置き場所としてではなく、データを活用するための連携基盤として使ってもらう」とその狙いを語る。

 すでに成果を得た企業も出てきた。代表的な成功例として、ある建設会社では図面修正時間を50%削減、点検業務の報告書作成を40%削減したという。また、日本でも住宅総合メーカーの大和ハウス工業がクラウドでのコラボレーションを実践し、成果を得ている。同社の場合、元々はオリンピック対応のために設計者のテレワーク環境の整備を進めたが、コロナ禍でもその環境を有効活用できた格好だ。現場で施工状況を確認しながら、リアルタイムに報告することで後工程の作業を従来比で4割削減できた。工事現場に行って状況を確認し、事務所に戻って報告書を作るのには時間がかかるが、クラウドでデータを活用すれば、現地から直接報告ができる。ニューノーマル時代の建設業の新しい働き方を示す好例と言えるだろう。

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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