Oktaが2020年の業務アプリの利用動向に関する年次調査「Business At Work 2021」 の結果を発表。1位はMicrosoft 365、続いてAmazon Web Servicesが昨年までのSalesforceを超えて2位となった。ZoomやSlack、DocuSignなどリモートワークを強化するアプリがランクを上げた。特長は複数のベンダーアプリを組み合わせる「ベストオブブリード」型になっていることだという。
Oktaが複数のアプリケーションのトレンドを調査できる理由
調査の発表会見は1月29日にデータインサイト担当ディレクターであるローレン・アンダーソン氏によってオンラインで行われた。

この調査は、Oktaの9,400以上の顧客が活用している、6,500以上のアプリケーションとの事前インテグレーションを提供する「Okta Integration Network」(OIN)の匿名化されたデータに基づいている。「OktaはID管理のプロバイダとして複数の業務アプリケーションに関わる中立的な立場なのでこのような調査ができます。Oktaのネットワーク経由でお客様の匿名化したデータによって、どのような業務アプリが使われているのかの洞察とトレンドがわかるのです」とアンダーソン氏はいう。
2015年から実施され7回目となる今回の調査は、2019年11月1日から2020年10月31日までのデータを分析している。
1位はMicrosoft 365、AWSが浮上、新興SaaS系が続々とランクイン
2020年に最も人気のある業務アプリ(顧客数ベース)の1位は従来どおりMicrosoft 365だった。2位は今年初めてAmazon Web Services(AWS)が浮上。これまでの6年間、2位はSalesforceだった。またZoomやSlack、DocuSignなどWFH(在宅勤務)やリモートワークを強化するアプリも昨年度よりランクを上げた。

地域別に見るとAWSの2位浮上はヨーロッパとアジアの急成長市場によるもの。Atlassianはグローバルではランクは落ちているもののヨーロッパとアジアではランクを上げている。
他にアジアで急成長しているのは、Mimecast、ServiceNow、Xero、Zendeskなどがある。企業がリモートワークを推進するため、在宅ワークスペースやバーチャルなコラボレーションをサポートするアプリや、従業員が互いに離れて仕事をするのを支援するアプリの利用が増えたことを示している。

今年急成長した業務アプリ(顧客数ベース)のトップ10のうち、90%は今年初めて登場した企業だ。トップ10のうち昨年から残った企業は1社のみ。前年度で1位だったデータウェアハウスを提供するSnowflakeが、今年も前年比105%の成長率で7位に入っている。

またオフィス・サプライ関連も伸び、Amazon Businessのアプリが前年比341%の成長率で1位となった。これは従業員が在宅で必要な事務用品などを購入できる企業オンラインストアを構築する需要などが伸びたことが想定される。
従業員やチームとのコラボレーション関連のアプリも伸びた。2番目に急成長したアプリは、従業員にホワイトボード機能などを提供するMiroで前年比301%成長。3位に入ったFigmaは、チームでデザイン設計などに使うアプリで、前年比236%の成長率、4位には、チームのプロジェクト管理ツールであるmonday.comが入り、前年比149%の成長率。また、6位にランクインしたのは従業員エンゲージメントツールのLatticeで前年比109%の成長率だった。
また、セキュリティはエンドポイント、パスワード管理などが目立った。トップ10入りしたアプリのうち、4つがセキュリティ関連のアプリだった。5位に入った次世代ファイアウォールのFortinet Fortigateは前年比149%の成長率、8位に入ったエンドポイント保護ソリューションのVMware Carbon Blackは前年比88%の成長率、9位に入ったアプリエラーを監視するツールであるSentryは、前年比86%の成長率、10位に入ったパスワード管理ツールの1Passwordは前年比81%の成長率だった。
テック系のIPO/DPO以降の成長という観点では別の見方が出来るという。Sprout Socialは50%、Bill.comは19%の成長だった。

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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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