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TBMフレームワークに定義されている、IT部門が推進していくべき4つの規律(2/2)

  2021/04/26 09:00

 前回ではTBM(Technology Business Management)フレームワークに定義されている、IT部門が推進していくべき4つの規律のうち、Creating Transparency(可視化)とPlan and Govern(IT予算策定とIT予算管理)を紹介しました。今回は残りの2つであるDeliver Value for Money(コストの低減とコスト妥当性の説明)とShape Business Demand(ユーザー部門との関係性改善)について紹介します。

TBMにCreating Transparency(可視化)は欠かせない

 まずは前回説明したCreating Transparency(可視化)について、具体的な例をもって改めて説明します。

 仮に、企業内で利用しているデスクトップPCがあり、1台当たり月額3万円の費用をユーザー部門にて負担していたと仮定します。ここでユーザー部門から「家電量販店では6万円でPCが売っている。それにも関わらず、なぜうちのITに月額3万円も払わねばならないのだ?」といった質問を受けたとします。

 実際、企業内のデスクトップPCにはキッティング費用、アンチウィルスソフトやWeb会議用のソフトウェアが入っており、サポートデスクの人件費もかかっているのですが、ここで、IT部門は月額3万円がかかる理由を質問相手に明確に説明をしないといけません。

 納得感のある説明ができないと「うちのIT部門は高い」という不満をユーザー部門に持たれ、ユーザー部門とのコラボレーションが困難になります。この金額の内訳を明確にするのがCreating Transparency(可視化)となり、TBMで最初に行なう1番目の規律になります。その上で、費用の内訳を説明します。しかし、それでも「月額3万円は高い!」ということであれば、ユーザー部門と次の会話をもってコスト低減に向かいます。「コストを削減するために、一緒にどのような手段が取れるか考えませんか?」。

 今回ご説明する3つ目の規律であるDeliver Value for Money(コストの低減とコスト妥当性の説明)ではコスト削減が主なテーマです。企業の中でユーザー部門に提供している各種ITサービスやアプリケーションサービスのコストを可視化して、ステークホルダーに説明することにより、ITコストのブラックボックスは解消されます。

 しかしユーザー部門から「依然高いサービス」と認識され、そのコスト妥当性が証明できないのであれば、IT部門はコスト低減を実現することで価値に見合った価格でITサービスを提供しなければなりません。コスト低減を行う方法は2つに大別できます。IT部門のみで行なうか、ユーザー部門と共に行なうかです。

 IT部門のみで行なう方法としては、たとえば購買・調達の中で、契約ベンダーを1つにまとめることでソフトウェアベンダーにライセンス価格を下げてもらう、ハードウェアベンダーに有利な条件を出してもらうなどの規模の経済を活用したコスト低減が考えられます。また、サービス提供の枠組みで、今までオンプレミスで提供していたITサービスをクラウド化やSaaSなどにて、その提供手段を変えることでコスト低減を図るということが考えられます。

 ユーザー部門と共に行なう方法としては、提供しているITサービスやアプリケーションサービスの統廃合があります。サービスの利用状況と、そのサービスにかかっている費用のデータをユーザー部門に提示し、たいして利用されていないのに費用がかかっているサービス、いわゆるコストパフォーマンスの悪いサービスをユーザー部門と特定し、サービスの廃棄や他のものに代替するという方法について検討し、ともにITコストの低減を図っていきます。

 概してIT部門のみで行う方法より、ユーザー部門と共に行なう方法のほうがよりコスト削減の効果が大きいのですが、ここでもCreating Transparency(可視化)が重要になります。また、ユーザー部門によっては「高いかもしれないが、少人数でも使っているので廃棄はしない」という回答もあり得ます。そのようなときにはShape Business Demand(ユーザー部門との関係性改善)の規律がカギとなりますが、これは後程紹介します。

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著者プロフィール

  • 成塚 歩(ナリヅカ アユム)

    Apptio株式会社 代表取締役社長 1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、日本総合研究所に入社。システムエンジニア、大手法人向け営業を経て、2008年に日本マイクロソフトに転職。以後12年間にわたり、エンタープライズ向けにビジネスを展開。直近ではSmat Storeのイニシアティブを立ち上げ、日本の小売業界向けのDX支援を推進。業務執行役員 流通サービス営業統括本部長を務めた後、2020年、Apptio株式会社に入社。代表取締役社長に就任。

  • 東本 成紀(ヒガシモト ナルキ)

    Apptio株式会社 エンゲージメント マネジャー 早稲田大学卒業後、外資系コンサルティング会社(Big4)に入社。ERP導入プロジェクトに従事。その後、外資系コンサルティング会社、SaaSベンダーにて、グローバルプロジェクト支援を中心に、ERP導入(ロールイン・ロールアウト)、DXプロジェクトなどにて構想立案から実装に至るまでのコンサルティング経験、プロジェクトマネージメント、PMO支援など経験。2020年8月、Apptio株式会社に入社。Post Graduate Diploma修了, PMP Certified.

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