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カニンガム博士が語る:境界型セキュリティを続けるか、ゼロトラストに進むか

Ericom Software チェイス・カニンガム氏インタビュー

 ゼロトラストのキーパーソン、チェイス・カニンガム博士。ゼロトラストの技術的な実装に詳しい。フォレスターリサーチ在籍時からゼロトラストの普及を推し進め、現在はアメリカのセキュリティ企業EricomのCSOを努めている。あらためてゼロトラスト発展の経緯や現状、押さえておくべきポイントについておうかがいした。(取材協力:アシスト)

ゼロトラストとは攻撃者の力を削ぎ、私たちが優位に立てるものだ

−−どんなきっかけでセキュリティの仕事に就くようになりましたか?海軍では暗号技術者をしたとか。

 長い話になるのですが短縮すると、最初海軍に入隊したのは17歳、メカニックとしてでした。ディーゼルエンジン船の整備をしていました。しかし徐々にコンピュータが得意だと分かり、23歳ごろからセキュリティの仕事が中心になりました。まさか自分がサイバーセキュリティに携わるとは思いませんでした。

−−ゼロトラストが台頭してきた背景について教えてください。

 ゼロトラストのコンセプトは納得がいくものです。かつて私はいわゆるレッドチーム、わざとシステムを攻撃する(弱点を暴く)仕事をしたこともあります。ゼロトラストは、攻撃者が悪事を働くために行うあらゆることを取り除きます。学術的な分析視点からも合理的です。(ゼロトラストでやることは)攻撃者の力を削ぎ、防御側が攻撃者よりも優位に立てるようになるのです。

Ericom Software 最高戦略責任者 チェイス・カニンガム博士(Dr. Chase Cunningham )
元、Forresterリサーチで、ゼロトラストを世界に普及させた中心人物。Forrester入社前は、米海軍の暗号技術者。さらにNSA、CIA、FBIでセキュリティの分析業務に携わっていたセキュリティ技術者。博士はゼロトラストのコンセプトを現実世界に落とし込んだ「ゼロトラスト拡張フレームワーク」を設計しゼロトラストの普及を世界的に推進した重要人物の一人。

−−ゼロトラストに関わり始めたのはいつごろからですか?

 フォレスターリサーチに入った2016年からです。いらいずっとゼロトラストに関わっています。

−−もともとインターネットはオープンなところから始まりました。徐々に重要なデータを抱える組織もインターネットに接続するようになり、まずは境界を作って防御するようになったものの、今では限界が露呈して違うものへと転換しているように見えます。

 違いを明確にする必要があります。もはや焦点は所有するネットワークではなく、ユーザーの扱いになります。私たちがいかにリソースにアクセスし、インフラをどう制御するかです。これらを実現しようとするなら、組織の目標はより高度になり、やるべき範囲も広がります。

−−より高度な防衛で、攻撃されにくくするということですか?

 攻撃者の視点で見る必要があります。彼らは皆と同じように仕事感覚でやっています。上司がいてコストも考えて動くこともあります。もし攻撃に時間やコストがかかるなら、より簡単ですぐに成果が出せるところを選びます。例えば泥棒が家に盗みに入るなら、ドーベルマンがいる家よりもチワワがいる家を選びますよね。

−−あるセキュリティ専門家がサイバー攻撃者を飢えた熊に例えていて「熊に食べられるのは、逃げる集団で一番最後にいる人だ」と話していました。

 そうですね。最後尾だとやられますから、それより前を走らなくては。

−−ゼロトラストに関する活動でどんなことを達成したいとお考えでしたか?

 私にとって重要だったのは、ゼロトラストの概念を技術的に適用可能にすることでした。(ゼロトラストを提唱した)ジョン・キンダーバグ氏は私がフォレスターリサーチに加わる前、10年ほどゼロトラストについて提唱し続けていました。私はとてもいいアイデアだと思い、実現するための方策を考えるようになりました。私の貢献で1000近くのベンダーが技術的にゼロトラストに適合できるようになったと思います。

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ゼロトラスト実装の変遷 ネットワークから認証、そして今後は?

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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