2021年第1四半期は前年同期比15%成長
アドビのDigital Economy Index(DEI)とは、18の製品カテゴリーを対象に、1億超の製品SKU(在庫管理の最小単位)を対象に、数兆件のオンライン取引を分析したものになる。デジタル経済を分析するため、アドビはAdobe Analyticsを利用している世界中のリテーラーからの同意を得て、匿名化したデータを利用している。この中には日本のトップクラスのリテーラーも含まれる。
主な分析対象は購入品目、個数、価格である。価格については、リテーラーが提示しているものだけでなく、消費者が実際に購入した価格の両方を分析対象にしているという。また、Adobe Analyticsを使うと、デジタルスペースにおけるカスタマージャーニーに関するデータも得られる。例えば、いつから商品の検討を始めたのか。何回Webサイトを訪問したか。どんなデバイスで買い物をするかなどだ。さらに、これらのデータだけでは購入に関わる選択の理由まではわからないため、データを補強するための消費者調査も実施した。その調査は、米国、英国、日本の3カ国を対象に、各国1,000人以上の消費者(18歳以上)を対象としたもので、2021年2月26日から3月2日、および3月24日から3月29日の間に実施されたものだという。
2021年第1四半期の調査結果を見ると、世界のeコマース市場は取引高ベースで8,760億ドルに達し、前年同期比38%増と大幅に増加したことがわかった。2020年の第1四半期は、世界全体がコロナ禍に見舞われる前のことだ。この取引額規模について、さらにアドビは2021年末に世界のeコマース市場は通期で4.2兆ドルを超えるまでに成長すると予測している。シュライナー氏は「これはドイツのGDPを上回るもので、日本のGDPよりは小さいが、世界トップ5の経済に匹敵する規模」と解説した。
一方、日本だけを見ると、2021年第1四半期のeコマース取引高は前年同期比で15%増となった。同期間中の米国は39%増、英国の66%増であり、この2国と比較すると緩やかな増加に留まった(図1)。