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デジタル企業の競争優位性: DX時代に求められる競争優位性の再定義 ITR 金谷 敏尊 連載:第4回

edited by Operation Online   2021/06/16 10:00

 DXの巨大な波を見据えて、デジタルへ舵を切る企業も着実に増えてきている。それは、IT業界のリーダーであるGAFAはさることながら、あらゆる業界で起こっている点に留意したい。製造業を見ても、米John Deere社、独Volkswagen社、仏Loreal社、国内でも小松製作所、コミカミノルタなどデジタル戦略を掲げる企業は数多い。これらの企業に共通するのは、全社的な経営方針としてDXにコミットしている点だ。伝統的な従来型ビジネスを脱却し、全社レベルでの次世代ビジネスモデルへの転換を狙う。そのような中で、これからの時代にデジタル企業が備えるべき競争力とは何だろうか。改めて考えてみたい。

テクノロジの価値

 デジタル技術によるビジネス革新において、テクノロジは事業価値を生み出す重要な原資のひとつだ。GPSセンサーによる見守りサービス、AIチャットボットによる問い合わせ窓口など先進テクノロジの活用によって具現化されるビジネスモデルは数多い。では、デジタル技術によるビジネス革新に投資する企業はどのようなテクノロジを活用しているのだろうか。DXプロジェクトで採用されるテクノロジについて現在と将来に分けて見てみよう(図1)。

図1 競争優位性 出典:ITR(2020年8月)[クリックして拡大]

 全てのテクノロジにおいて将来的な採用率の拡大が見込まれる。特にIoTはすでに過半数のDXプロジェクトで活用されているが、さらなる採用が見込まれる。将来的には5G(セルラー/プライベート)の伸びが著しく、AI/機械学習もプロジェクトの約半数で採用されるようになる見込みである。

 これらのテクノロジ活用が進む背景にあるのは、その各々が備える革新性や先進性、ひいてはそれらが導くビジネスシーズへの期待感に他ならない。IoT黎明期の2013年にCisco Systems社は「インターネットに接続可能なモノのうち現在コネクトされているのは0.6%に過ぎない」との研究結果を発表した。99.4%の「モノ」は、今後、データ収集やリモート制御の対象となりうる。その膨大な潜在性が、コネクテッドデバイスによる新たなビジネスモデルへの期待を高めた。

 また、5G通信の低遅延性は、msec(ミリセック)単位での高速レスポンスにより、リアルタイム制御の機会が増す。移動体へ適用すればV2X(Vehicle to Everything)を活用した自動運転の実現性も高まるだろう。他方では、AIへの期待も高い。2015年10月にGoogle/DeepMind社のAlphaGoによって、人間ははじめてAIに囲碁の勝負で敗退した。このことは、ルールやタスクを学ぶ深層学習、教師なしでも試行錯誤で成果の最大化を図る強化学習といった一連のアルゴリズム開発の成果を広く知らしめる結果となった。経験学習や俯瞰力といった、それまでコンピュータで不可能とされてきた領域にも大きな期待が寄せられることとなった。

 優れたテクノロジの先駆的な活用により競争優位を得ることの重要性は、DXが叫ばれる以前から言われてきたことである。スマート社会へ向けた第四次産業革命に差し掛かる現在は、デジタル技術に関わる企業能力が一層問われることとなる。「デジタル」の意味合い、すなわち、現実社会をデータ化/プログラム化して、仮想空間での処理結果から得た洞察を還流させる。その価値を直視することが不可欠となる。

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著者プロフィール

  • 金谷 敏尊(カナヤ トシタカ)

    株式会社アイ・ティ・アール 取締役/リサーチ統括ディレクター/プリンシパル・アナリスト、英国MBA(経営学修士)、IoTエキスパート(MCPC認定)、BATIC Accountant(国際会計検定)、ITIL Foundation(EXIN) 青山学院大学卒業。英国Anglia Ruskin University MBA。 デジタルビジネス戦略を主要な研究テーマとし、事業の創出と収益化、テクノロジの活用と成果に関わる提言を行う。テクノロジー導入の上流プロセスを得意とし、大手企業の戦略立案、方針化、稟議に関わる多数のプロジェクトを遂行すると同時に、技術プロバイダのビジネス開発、市場性分析、技術戦略に関わるアドバイスを提供する。1999年より現職。

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