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エンタープライズIT業界Watch:デジタルビジネスへの戦略シフト

コロナ禍を経た新たなビジネス環境を見据えて

第1回


 ここ数年間にわたり、DXはビジネストレンドとしてあらゆる産業界で注目を集め、昨今では多くの企業が経営課題として認識するに至った。2020年以降急速に拡大したコロナ禍によってプロジェクトが停滞する例もあったが、リモートワークやコンタクトレス(非接触)が普及するなかでITやデジタル技術の価値が再認識されたことで、DXはさらに加速すると見られる。ビジネス上の競争優位へ向けて、デジタル技術やデータを活用する動きが強まっている。企業の関心もオンライン会議や電子契約といったワークスタイルに関わるものから、デジタルマーケティング、さらにはスマート工場や自動運転といったデジタルビジネスの領域に徐々に拡大するであろう。そこで、本連載では、デジタルビジネスに焦点を合わせて、企業が採るべき戦略について考えてみたい。コロナ禍を経た新たな経営環境において、「デジタル」はどのような意味を持つのか、まずはその位置づけから見てみよう。

アフターコロナのビジネス規範

 さて、2021年3月現在、ワクチン開発や株価上昇など明るい兆しも見られるようになったが、収束への道筋がついたとはいい難く、コロナ禍の社会的影響は依然として大きい。社会・経済はすでにニューノーマルへ向かっており、それまで当然と思われていた思想や行動が通用しなくなっていることも多い。では、ビフォアコロナと違い、アフターコロナにおいては、企業における価値観や行動様式はどのように変わるのだろうか。ビジネス規範の観点から企業活動に起こり得る変化を整理してみよう(図1)。

図1 アフターコロナのビジネス規範 出典 ITR [クリックして拡大]

 まず、「理念・文化」の観点では、経済の先行きが不透明ななか、企業の社会責任が問われる機会が増すことで、利益追求型の思想から社会共存やレジリエンス(回復力)をより優先する動きが強まる。「財務・投資」の観点では、それまではあらゆる業種の比較的安定した経済成長により投資が促進されてきたが、今後は経済の不確実性が高まり、事業の先行きに関する業界ごとの差異も大きい。そのため、投資の是非を柔軟に判断できる弾力的な投資マネジメントのニーズが高まる。業種によっては不景気下での収益確保へのプレッシャーが高まり、支出抑制の機運が増すと見られる。他方では、「事業方針」や「業務活動」の視点からも変化が余儀なくされる。事業方針として、デジタル化を進める例はこれまでも少なくなかったが、デジタル技術による新機能やそこから生み出されるデータや洞察を商品の付加価値とするだけではもはや十分といえない。今後はデジタル技術やデータでいかに競争優位性を築くかが問われることとなる。

 さらに、業務活動においては、デジタル/リモート/クラウド/無人化は、推奨から必須の施策へと位置づけが変化するであろう。つまりは、デジタルファースト、クラウドファーストというように、既存業務の見直しや新たな業務のデザインにおいて、テクノロジ活用を前提に検討や計画を行うこととなる。新たなテクノロジの導入には、抵抗がつきものだが、ひとたびユーザーがその恩恵を享受すると、かえって後戻りが効かなくなる。例えば、在宅ワークに慣れてしまったワーカーは、いざ出社が解禁になっても直ちにオフィスへ戻ってくると限らない。図らずともコロナ禍は、このように企業がテクノロジの価値を再認識する機会をもたらした。今後、タイムリーに恩恵を享受するためには、企業が先駆的にデジタル技術を評価し、活用する姿勢が重要になるであろう。

 なお、外部環境に目を向けても、テクノロジ活用の重要性が増す傾向が見て取れる。コロナ禍における株価上昇の牽引役は、医療・健康や巣ごもり消費関連に加えて、DX関連の銘柄であると言われる。今日、先進テクノロジへコミットし、ビジネス革新を実践することで企業価値を高く評価されるケースは少なくない。企業は、自社のビジネスを有利に展開するだけではなく、資本市場や取引先からどう評価されるかという点も、その目的に織り込んでDXを捉え直すべきであろう。デジタル技術/データによるビジネス革新は、これまでにも増して重視すべき企業戦略となりうる。

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不確実な経済環境で拡大するデジタル投資

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この記事の著者

金谷 敏尊(カナヤ トシタカ)

株式会社アイ・ティ・アール 取締役/リサーチ統括ディレクター/プリンシパル・アナリスト、英国MBA(経営学修士)、IoTエキスパート(MCPC認定)、BATIC Accountant(国際会計検定)、ITIL Foundation(EXIN)青山学院大学卒業。英国Anglia Ruskin University M...

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