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米国最新事例から考察 ハイブリッド化するビジネス環境への対処法とは

アクイアジャパンが提唱するDX実現に向けたステップ

 6月25日、「DXが直面する不都合な真実」と題し、DX実現のための喫緊の課題を解決するための指針を示すためのオンラインカンファレンス「EnterpriseZine Day 2021」が開催された。アクイアジャパン合同会社 営業部 アカウントマネージャーの石井紀之氏は、「米国最新事例から考える、ポストコロナの企業DX ーハイブリッド化するビジネスニーズに応えるにはー」をテーマに登壇。米国の最新DX事例を元に、オンライン/オフラインでハイブリッド化するビジネスニーズに対応しながら、コロナ禍以降も持続可能な顧客体験、従業員体験を創出するために必要なことについて考察した。

情報提供サイトの統合で「1to1エンゲージメント」を強化

 アクイアは、オープンソースソフトウェアのCMS(Contents Management System)である「Drupal」の開発者が、米国ボストンで2007年に創業。Drupalが多くの企業で利用される際に必要なサポートサービスを提供するために生まれた企業だ。世界中に4,000社の顧客があり、日本法人は2018年12月に設立、既に国内大手企業など40社以上で利用されている。アクイアでは、Webサイトのホスティングに利用される「Drupal Cloud」、マーケティングオートメーションやCustomer Data Platformなどを実現する「Marketing Cloud」という2つのサービスを展開している。

アクイアでは、「Drupal Cloud」と「Marketing Cloud」を提供
アクイアでは、「Drupal Cloud」と「Marketing Cloud」を提供
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 現状、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、企業を取り巻くビジネス環境は大きく変化し人々の生活も変わった。パンデミック以前は、“デジタルシフトでデジタル化への大きな投資をする”とした企業は、米マッキンゼー社の調査では8%程しかなかった。それが昨年4月には、「73%の会社がDX無しには生き残れないと考えており、強化や投資をしなければとの意識が生まれています」と石井氏。コロナ禍以降、DXの大きな波が来ていると指摘する。

ニューノーマルの世界では、新たなデジタルアジリティ獲得が鍵に
ニューノーマルの世界では、新たなデジタルアジリティ獲得が鍵に
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 実際、これまでデジタル化を推進しWebサイトでの情報発信やマーケティングオートメーションなどに投資していたのは、IT企業やEコマースを展開する企業が中心だった。コロナ禍以降は、エンドユーザー企業の多くがこれらに取り組んでおり、「全産業のあらゆる規模の企業から、アクイアには相談が寄せられている」という。

 同社ではオンライン化やデジタル化は引き続き加速するが、その上でワクチン接種などが進めば対面接客や訪問営業などのオフラインに戻る部分もあると考えている。つまり企業は、オンラインとオフライン両方の活動と投資が求められる「ハイブリッド化」に対応しなければならない。既に、そういった企業の声がアクイアには届いていると石井氏は言う。

 ハイブリッド化への先進的な取り組みとして、米国ニューヨーク州でCOVID-19に対応したWebサイトを「Acquia Digital Experience Platform」を使い3日間で構築した例が紹介された。600万人のユーザーに対し、4,900万のサービスインタラクションと3億4,200万のページビューに耐えられる環境を整えた。この例ではすべての作業がオンラインで済んでいるわけではなく、実際にワクチン接種をするのはオフラインであり、オンライン/オフライン双方のサポートをアクイアのプラットフォームで実現している。

 米国で最も歴史のある製粉会社キング・アーサー・ベイキングカンパニーでは、小麦粉などパン作りに必要な製品を販売してきた。コロナ禍の巣ごもり需要では、多くの人が自宅でパン作りをするようになった。そこで同社は、Webサイトにプロによるパン作りのレシピ情報を掲載。その結果、劇的にWebサイトへのアクセス数が伸び、セッション数が260%上昇、前年比売り上げも200%の増加を実現している。これを支えたのが、アクイアのWebプラットフォームだ。タイムリーにコンテンツを充実させられたことで、コロナ禍の厳しいビジネス環境下でも製品売り上げの向上につながったという。

 北米のスポーツ衣料販売企業であるlululemonでは、オンラインとオフラインのデータを統合し、全体的な顧客の洞察を得て、関連性の高い体顧客験を提供するために「Acquia Customer Data Platform(CDP)」を採用している。オンラインと、店舗などのオフラインの顧客情報をCDPで統合し最適化したことで、サイト訪問は50%増加した。さらに店舗では、顧客がいつ何を買ったかの情報がレジ画面ですぐに見られるようになったという。これにより、たとえば一年前にスポーツウェアを購入した顧客にレジで使い心地を尋ね、アップセルの提案をするといったことが可能となっている。これは、ハイブリッドでの1to1のエンゲージメント強化が実現した例といえる。

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欧米と日本におけるDX課題の差異

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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