DXを進める過程で直面する2つの痛み
1人のビジネスパーソンとして、あるいは生活者として、皆がデジタルテクノロジーに向き合う時代が到来している。しかし、全てのデジタルの仕組みが使いやすいか、全員がデジタルネイティブのようにテクノロジーを自由自在に使いこなせているかと問われると、そうとは言い切れないのが現状だ。誰もが迷いやストレスなくデジタルテクノロジーを使えるようにしたい。そんな世界を実現することをミッションに、デジタル定着化のためのプラットフォーム製品を提供しているのがWalkMeである。
2011年にイスラエルで創業したWalkMeは、「組織へのテクノロジー定着化」一筋にビジネスを展開してきた。新しいテクノロジーを導入したはいいが、使われないシステムができてしまうのを防ぎ、より多くの人たちがテクノロジーから価値を引き出せるようにする。それがWalkMeの考える「デジタルアダプション」である。顧客数は全世界で2,000社以上。その中には、Fortune 100企業の過半数が含まれる。得意としているのはSalesforceやSAP製品の定着化であるが、自社開発の基幹情報システムやWebサイトにも使えるという。日本でのビジネス展開は、2019年6月の東京オフィス開設に始まる。以来、国内導入企業は50社を超えた。2021年6月16日には、NASDAQに株式の新規公開も果たしている。
道下氏は「デジタルアダプションという考え方はイスラエル発ではあるが、日本でも現場のニーズを受けてソリューションを提供し、業務に役立ててもらうことができる『リアルなフェーズ』に入った」と語る。デジタル活用が進むほど、見落としていたこと、あるいはわかっていても目を背けていた本質的な課題がクローズアップされてくる。「DXの痛みには、D(デジタル)に起因するものとX(トランスフォーメーション)に起因するものの2つがある」と道下氏は指摘した。
「痛みを伴う変革」という言葉が示すように、変革にさらされる人たちは痛みを感じるものだ。痛みがあれば変革のスピードはどうしても遅くなる。最悪の場合は計画自体が頓挫し、それまでの投資が無駄になることもあるだろう。だが、「Dに起因する痛みは、Xに起因するものと比べて緩和できる」と道下氏は主張する。WalkMeは、Dに起因する痛みを緩和することを「デジタルアダプション」と呼び、その解決に焦点を当てた製品を提供していると説明した。