欧米と日本におけるDX課題の差異
ハイブリッドな取り組みが進んでいる欧米と日本では、どのような違いがあるのか。日本の顧客と接して感じるDXの取り組みの課題としては、コーポレートサイトと各事業部が展開するマーケティングサイトなどが挙げられる。グローバル企業なら各国のサイトも別途運用しているケースも多いが、日本では企業内でWebサイトが乱立してしまっているという。その結果、管理者や管理部署も乱立し、作業も増加。そのため本社で自社サイトの情報発信のガバナンスが効かず、関係者や委託先が多いため意思決定に時間がかかる。また、関わるベンダーも多くなることで全体コストの把握が難しくなり、コストが適切かもわからない状況も生まれている。

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また、Webサイトを更新できるエンジニアが不足、あるいはいないという問題もある。委託先に連絡し更新する内容を都度確認する作業が発生するため、タイムリーな情報更新ができない。さらに、自社内にデジタル化して情報を活用するためのノウハウの蓄積が難しいという問題も発生している。これらは経営的に見れば、時間と人件費の把握ができずコストが不透明となり、企業イメージの一貫した管理もできないことにもなる。結果的に、企業業績や従業員の満足度にも影響を与えかねないと石井氏は指摘する。
こうした日本企業における課題は、「コミュニケーションのデジタル化の遅れ」「オフラインとオンラインを統合化するためのデータマネジメントの必要性」という2つに分けられる。前者には、市場投入時間の短縮、Webサイトでの受発注基盤の構築、社内コミュニケーションポータルの一元化などで対処する。これには、アクイアからデジタル基盤構築の高速化の提案ができる。後者には、あらゆる顧客データの統合、データ活用による営業活動の効率化で対処することとなり、データ活用マネジメントを実現する提案で解決することとなる。

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既にアクイアのソリューションで、これらの課題解決に取り組んでいるのが日本航空だ。日本航空ではイントラネットに様々なサイトがあり、従業員がどの情報をどのサイトに行けば得られるかがわかり難かった。そこでアクイアのサービスを用い、情報提供サイトを一本化し業務の効率化を実現。DXは大きな概念で何から始めていいかわかり難いが、最初の1歩は「企業負荷を減らすことだと考えています」と石井氏。日本航空の例を見てもそうだが、従業員の負担を減らさないと顧客に余裕を持ったおもてなしやサービスは提供し難いものがあるともいう。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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