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クラウド時代に注目を集める「FinOps」とは何か 誕生の背景から紐解く 【第1回】FinOps誕生の背景と新たなオペレーティングモデルの必要性

  2021/08/30 08:00

FinOpsの原則

 FinOpsは、以下6つの原則で構成されています。

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  1. チーム横断でコラボレーションする
  2. ビジネス価値で意思決定する
  3. 全員が自身のクラウド利用に対して責任を持つ
  4. 共通言語化されたFinOpsレポートをリアルタイムにアクセス可能にする
  5. 中央集権化したチームがFinOpsを推進する
  6. クラウドの変動費モデルを活かす

 これだけでは理解しづらい点もあると思いますので、それぞれについて説明します。

1.チーム横断でコラボレーションする

 FinOpsはカルチャー変革とチーム間のサイロ化の解消をもたらします。FinOpsを効果的なものにするためにも、ステークホルダー間の協調的かつ生産的な会話と行動を促進する必要があります。

2.ビジネス価値で意思決定する

 FinOpsはコスト削減だけではなく、クラウド利用による効果や成果の最大化が目的であり、ときにはイノベーションを促進するためにコストを増やすことも必要です。そのためにも「スピード」「コスト」「品質」のトレードオフを意識し、クラウドを利用することで得られるビジネス価値をユニットエコノミクスなどで常に考慮する必要があります。

3.全員が自身のクラウド利用に対して責任を持つ

 クラウドは「使えば使うほどお金がかかる」という単純なものです。つまり、各人がクラウドの利用に責任をもてば、クラウドのコストにも責任を持つことになるため、説明責任をチームやエンジニアに広げられることを意味します。これによってエンジニアを含むテクニカルメンバーは、コストを新たな指標として考慮することになり、リソース使用量の最適化に対する意識も高まります。

4.共通言語化されたFinOpsレポートをリアルタイムにアクセス可能にする

 秒・時間単位の課金や自動デプロイの世界では、従来のオンプレミス環境のような月や四半期での把握や報告では不十分です。クラウドの利用やコストについて各ステークホルダーが理解できるように共通の用語を定義し、リアルタイムにデータを参照できるようにすることで迅速な意思決定が可能になります。

 また、これによって即時のフィードバックループができるため、関係者に対してより効率的な行動を促すことも可能になります。さらに、他企業とのベンチマークによって自社のパフォーマンスを評価することで、改善箇所の特定にもつながります。

5.中央集権化したチームがFinOpsを推進する

 カルチャーを変革したい場合には、それを推進する人やチームが必要です。FinOpsでは、中央集権化したFinOps専任チームがプロセス標準化・教育・サポートを通じてベスト・プラクティスを推進します。

 FinOpsチームは、全社のレートとディスカウントの全体最適化を行うとともに、クラウドを利用や運用している各チームが使用量を最適化するためのサポートを行います。

6.クラウドの変動費モデルを活かす

 クラウドでは、キャパシティプランニングが「要求を満たすためには何が必要か?」から「既に使用しているものを予算内に収めるためにはどうすれば良いか?」に変わります。つまり、将来の需要に基づいてキャパシティを購入するのではなく、実際の使用データに基づいて適切なサイジング選定、ボリュームディスカウントやコミットメント契約をアジャイルかつ反復的に行います。


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著者プロフィール

  • 宮原 一成(ミヤハラ カズナリ)

    Apptio株式会社 セールスディレクター 早稲田大学卒業後、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に入社。大手企業向け営業、営業マネージャ、ソリューション営業マネージャを経て、2016年にチームスピリットに入社。2017年から取締役としてマーケティング、セールス、コンサルティング、カスタマーサクセスを管掌後、2020年12月にApptio株式会社に入社。

  • 東本 成紀(ヒガシモト ナルキ)

    Apptio株式会社 エンゲージメント マネジャー 早稲田大学卒業後、外資系コンサルティング会社(Big4)に入社。ERP導入プロジェクトに従事。その後、外資系コンサルティング会社、SaaSベンダーにて、グローバルプロジェクト支援を中心に、ERP導入(ロールイン・ロールアウト)、DXプロジェクトなどにて構想立案から実装に至るまでのコンサルティング経験、プロジェクトマネージメント、PMO支援など経験。2020年8月、Apptio株式会社に入社。Post Graduate Diploma修了, PMP Certified.

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連載:クラウド時代のオペレーティングモデル「FinOps」入門ガイド
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