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アイデンティティ管理が経営の根幹に―Okta Japan代表 渡邉氏が語る課題と対策 Auth0買収でアイデンティティ管理におけるカバレッジを強化

  2021/08/31 08:00

 企業システムのクラウドへの急速な移行、働き方改革やコロナ禍によるリモートワークの推進、DXの加速などにより、従来の境界型セキュリティに変わる概念としてゼロトラストセキュリティが注目を集めてきた。そのなかで需要が高まっているのが、従業員のアクセス保護や顧客のユーザーID認証などをサポートするクラウドベースのアイデンティティ管理だ。トップベンダーである米Okta(オクタ)の日本法人代表取締役社長 渡邉崇氏に、日本でのアイデンティティ管理の課題と同社の事業展開について訊いた。

クラウドシフトで急成長を遂げたアイデンティティ管理

――日本法人の代表取締役社長就任から約1年を迎えるにあたり、所感をお聞かせください。

渡邉崇氏(以下、渡邉氏): Oktaをはじめ、ID/アイデンティティ管理に対する興味が急速に高まってきていると感じています。ビジネスも順調に伸びており、日本の社員枠も予定を上回るペースで増えるなど、チームを増強できています。また、クラウドへの移行が加速しているだけでなく、デジタルトランスフォーメーションに向けた動きも高まっており、安全かつスムーズなカスタマーエクスペリエンスを求める企業も増えていると感じています。

 さらに、コロナ禍による在宅勤務の継続やリモートワークの導入も影響しており、コンシューマーもセキュリティに関心を持ち、情報漏洩しないためのサービスを求めるようになっています

様々な要因によってアイデンティティ市場も拡大へ
様々な要因によってアイデンティティ市場も拡大へ

 一般的に外資系のソフトウェア企業が日本法人を作るとき、多くの場合は営業とSEを雇って、営業サイドのみで立ち上げを行うことが多いと思います。しかしながら私は、日本で成功するためにはお客様にご契約いただいた後に責任をもって、満足のいくサービスをご提供する必要があると考え、ポストセールスに対する投資にこだわってきました。また、お客様サポートや法務はもちろん、日本におけるアイデンティティ管理の認知度が高くないことから、マーケティングやコンテンツにも注力する先行投資の必要性を米国本社と交渉した上で、日本法人の立ち上げに取り組んでいます。

 たとえば、アメリカの場合はイベントを開催して集客をした後にナーチャリングしていくことが一般的ですが、日本のお客様はまず事前にサービスについて勉強をします。そして、ある程度どのようなものか理解した上でイベントに参加したり、資料請求をしたりするのです。そのため、お客様が最初に触れるコンテンツを日本語で整備することが非常に大切であると考え、日本のお客様事例やセルフアセスメントができるツールなど、各種コンテンツの翻訳を本社プランよりも先行するように交渉して支援を取り付けました。

 昨年9月に記者会見をしたのですが、前日まで4ページだった日本語ウェブサイトを、翌日には200ページを超えるまでに増やしました。その上で、バイリンガルの日本人によるサポート要員を複数名確保し、日本のパートナー様の声を米国本社に直接伝えられるようにしています。

――日本市場におけるアイデンティティの認識は高まっていると感じますか。

渡邉氏:日本への進出当初と比べて高まっていると思いますが、海外と比べるとアイデンティティに関する認識に差異が見受けられます。まだまだ、日本はこれから伸びる市場です。たとえば、ERPなど業務プロセスと直接関係する領域においては、日本特有のサービスが多く提供されていますが、アイデンティティ管理はそうではありません。一方で、アイデンティティ管理のサービスを導入する日本固有のハードルが多くあるという訳ではなく、我々の一番古いお客様でもあるディー・エヌ・エー様は、2012年にOktaを導入いただいており、現在まで問題なくお使いいただいています。

 また弊社では、事業の根幹として大きく2本の柱をもっております。1つが「ワークフォースアイデンティティ(Workforce Identity)」と呼んでいる従業員向けの組織システムにログインするためのアイデンティティ管理。もう一つは、「カスタマーアイデンティティ(Customer Identity)」と呼んでいる、外部ユーザーに向けたアイデンティティ管理です。後者に関して日本では、サービス開発をシステムインテグレーターに依頼するケースも多く、アメリカの現況とは大きく異なります。

 日本におけるアイデンティティの認識は、まだこれからだと思います。ワークフォースを守り、カスタマーアイデンティティは攻めのアイデンティティという2軸で考える動きもありますが、それぞれのポテンシャルが違うため、導入の段階に分けて考えるべきです。単にセキュアにするためにアクセス管理を導入するのではなく、ユーザーの属性に合わせてより素晴らしいサービスを提供したり、あるいは効率化を図ったりなど、より先の展開を見据えた導入が可能だからです。

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著者プロフィール

  • 森 英信(モリ ヒデノブ)

    スマホアプリやWebサイト、出版物といったコンテンツの企画制作を手がける株式会社アンジーの代表。写真加工アプリ「MyHeartCamera」「PicoSweet」など、提供するアプリは1100万以上のインストールを獲得。2019年にはAR(拡張現実)プログラムに関する特許を取得。自身はITやHRなどの取材記事ライター・編集者としても活動。趣味は英語学習(TOEIC L&Rスコア845)。

  • 岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

    メディア部門 メディア編集部 EnterpriseZine編集を担当

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