クラウドサービスを適宜組み合わせるファストSIが求められる
一方、マルチクラウドという言葉からは、AWSやAzureのIaaSを並行して利用するイメージがある。1つのベンダーのIaaSだけでは、大規模なクラウドデータセンター障害や特定のIaaSに発生する不具合などでビジネスが止まる懸念がある。そのリスクをなくすために、複数ベンダーのIaaSを利用するのだ。
しかしながら、このようなIaaSを複数利用するマルチクラウドはかなり少ないと言うのが、サーバーワークス 代表取締役社長の大石 良氏だ。サーバーワークスは、2000年に創業したAWS専業のクラウドインテグレーターだ。AWSの最上位のパートナーで日本では10社のみのPremier Consulting Partnerに、2014年から連続して認定されている。これまでに920社を超えるAWSの導入、運用の実績がある。
同社の多くの顧客を見ても、複数ベンダーのIaaSを使うケースは少ない。一方でAWSのIaaSやPaaSを幅広く利用し、データ分析のところでGoogle CloudのBig Queryを使う。またAmazon Connectで電話業務のクラウド化を実現し、その際の音声分析はGoogleのSpeech-to-Textを、スタッフへの通知にはSlackを組み合わせて使う。このように複数のクラウドサービスを組み合わせ、スピーディーかつ安価に業務をサポートする仕組みを作る例はたくさんあると大石氏。コロナ禍を経て、クラウドサービスを有機的に組み合わせるこの「ファストSI」のニーズが高まっていると言う。
顧客からのクラウドにおけるファストSIのニーズに応えるべく、サーバーワークスでは新たにGoogle Cloud市場に参入することを決めた。そしてアジアNo1のGoogle Cloudパートナーである韓国BESPIN GLOBAL社と合弁して、Google Cloud専業のクラウドインテグレーター「G-gen」社を2021年9月に設立することを発表した。
BESPIN GLOBALは韓国トップのGoogle Cloudパートナーで、同社の技術サポートを得て市場参入当初からGoogle Cloudの高度なノウハウを得て、顧客の複雑な要求にも応えられるようになると、大石氏は合弁で参入するメリットを強調する。