
富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組んで来た著者の実践に基づくDX連載の第13回。著者は、富士通 デジタルビジネス推進室エグゼクティブディレクターの柴崎辰彦氏。今回から、シリーズの第3部となる「実践研究編」として、実際にデジタル変革に取り組む企業の取り組みをプロジェクトリーダーのインタビューを通してご紹介する。トップバッターは、先ごろ新たなサービス「MY G-SHOCK」発表したカシオ計算機株式会社のデジタル統轄部情報開発部長の大熊眞次郎氏にお話をお伺いした。
“G-SHOCK”のカスタマイズサービスがいよいよスタート

あの “G-SHOCK”のカスタマイズサービス「MY G-SHOCK」が2021年10月20日から同社のサイトでスタートしました。全世界500万人以上と言われるG-SHOCKコアファンを中心に耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”のスクエアデザイン5600シリーズをベースに、パーツを組み合わせることで、約190万通りから自分好みの“G-SHOCK”が作れるというファンからするとある意味自分だけのG-SHOCKという拘りのサービスです。
これまで同社では、1983年に発売して以降、多くのファンに支えられ世界累計出荷個数1億3,000万個を達成しています。常に新たな挑戦を続ける“G-SHOCK”は製品の進化に加え、早くからユーザー参加型のイベント“SHOCK THE WORLD”を開催するなど、ファンとのコミュニケーションに注力してきました。一人ひとりにあわせたユーザー体験を提供するとともに、お客様と新しい“G-SHOCK”を共創できないかという思いから、ネット上での販売を前提としたカスタマイズサービスを開始しました。

生活者を対象とした消費財では、既にスニーカーをカスタムできるNIKE By Youや内外装を自由に選択できるBMWのインディビジュアル・オーダー等、顧客との共創について実験的な取り組みがスタートしています。しかし、実現にあたっては従来のビジネスプロセスに加えて新たな顧客接点を担うサービス、そしてデジタルを活用したマーケティングが正に三位一体となって推進する必要があります。
この実践研究編の追いかけたいテーマの一つは、デジタルビジネスにおける情報システム部門と現場部門の融合です。今回ご紹介するカシオ計算機の取り組みを理解するには、同社の長年にわたる情報システム部門と現場部門の交流の歴史を紐解く必要があります。
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柴崎 辰彦(シバサキタツヒコ)
香川大学客員教授 富士通株式会社にてネットワーク、マーケティング、システムエンジニア、コンサル等、様々な部門にて“社線変更”を経験。富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組む。CRMビジネスの経験を踏まえ、サービスサイエンスの研究と検証を実践中。コミュニケーション創発サイト「あしたの...
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