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増え続ける社内SaaSをIT部門が管理する:マネーフォワードの「SaaSの家計簿」

マネーフォワードi 今井氏に訊く


 マネーフォワードはグループ新会社として立ち上げたマネーフォワード iを通じて、SaaSの一元管理を実現する「マネーフォワード IT管理クラウド」を11月にリリースした。新会社の名前の一部の「i」には、インテグレーションの意味が込められているという。同製品が支援する顧客はズバリ企業のIT部門だ。その製品戦略についてマネーフォワード iの社長である今井氏に訊いた。

増え続ける社内のSaaSを一元管理

マネーフォワードi株式会社 代表取締役社長 今井義人氏
マネーフォワードi株式会社 代表取締役社長 今井義人氏

――最初に「マネーフォワード IT管理クラウド」について、製品の紹介からお願いします。

 これまで、マネーフォワードは個人向けの家計簿アプリや、企業のバックオフィス向けクラウドサービス等を提供してきました。「マネーフォワード IT管理クラウド(以降、IT管理クラウド)」はIT部門向けのSaaSという新しい分野への挑戦ですが、実はコアテクノロジーの1つであるアカウントアグリゲーション基盤を活用して開発した製品です(図1)

図1:マネーフォワード製品のコアテクノロジー 出典:マネーフォワード
図1:マネーフォワード製品のコアテクノロジー 出典:マネーフォワード

 マネーフォワードが個人のお客様に提供している家計管理ツール「マネーフォワード ME」では、銀行口座やクレジットカードのデータを集約するためにアカウントアグリゲーション基盤を使っています。同じように、IT管理クラウドでも企業が利用中のSaaSのアカウントデータを集約し、ライフサイクルマネジメントに役立ててもらうことを考えていて、イメージとしては「SaaSの家計簿」を思い浮かべていただくとわかりやすいと思います。利用料金の集計に関してはこれからになりますが、企業内で増え続けるSaaSを一元的に管理する製品として、2021年8月からベータ版の提供を開始しました。

――どんなビジネス課題の解決を狙った製品でしょうか。開発の経緯を教えてください。

 マネーフォワードのグループ会社の1つ、スマートキャンプが日本のSaaSのマクロトレンドをまとめたレポートを出しています。この8月に発表した「SaaS業界レポート2021 速報版」によれば、国内で利用可能なSaaSは800を超えていることがわかっています。そして実際に社内で利用されるSaaSの数も年々増えており、統計データは持ち合わせていませんが、我々のお客様でも1社で100種類以上のSaaSを使っているところも珍しくなく、肌感覚では20〜30種類のSaaSを使っている企業がほとんどではないかとみています。

 IT管理クラウドが焦点を当てているのは、SaaSのライフサイクルマネジメントにおける購入後のプロセスです。契約を更新する場合もあれば、積極的に使わずに途中で契約を停止する場合、あるいは解約に至る場合もある。どのぐらいの数のアカウントを契約しているか、SaaSの種類と利用ユーザーが増えるほど管理が複雑になります。マネーフォワード社内でも人事、法務、財務などの業務アプリケーションの他、コラボレーションツールを含めて200以上のSaaSを使っているのですが、ここまで多いと全体像の把握が難しくなるんですね(図2)。

図2:マネーフォワードが利用中のSaaSの代表例 出典:マネーフォワード[クリックして拡大]

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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