Blue Yonder買収で充実するパナソニックのSCMソリューション
連結売上高6.698兆円、グループ従業員数は24.4万人(2021年3月期)を抱える総合家電国内最大手のパナソニック。同社は10年単位で大きな組織改革を行うことで知られる。2022年はその節目の年に相当する。2013年から進めてきたカンパニー制に基づくグループ経営を廃止し、2022年4月から持株会社制に移行する計画を進めている。それに先立ち、2021年10月に同社はカンパニー制を廃止し、新しい事業体制に移行している。この組織改革の狙いは、中長期的な事業競争力の強化にあるという。
パナソニックと言えば、一般消費者であれば真っ先に白物家電をイメージするところだが、山中氏の所属するパナソニックコネクティッドソリューションズ社は、企業や公共機関に対し、製品やソリューションの開発から販売のビジネスを手掛ける。同カンパニーは、4月からはパナソニックコネクト株式会社として、現場プロセスイノベーションで持続可能な社会を実現することをミッションに再スタートを切るという。その山中氏の同社における担当は大きく2つある。1つは新規事業の創出。そしてもう1つは、コネクテッドソリューションズ社の傘下で販売専門会社の機能を提供するパナソニックシステムソリューションズジャパンの営業組織の統括である。
製造業が抱えるサプライチェーン課題は様々だ。コロナ禍だけでなく、多発する自然災害をきっかけに世界的なサプライチェーンの課題が顕在化している。日本では少子高齢化による人手不足もサプライチェーン現場の課題を深刻なものにしている。この課題に対するパナソニックのアプローチとしては、2021年9月に世界トップクラスのSCMソリューションを提供するBlue Yonder(旧社名はJDAソフトウェア)を買収し、完全子会社化したことが話題になった。
元々、Blue Yonderは小売業向けにクラウドベースのAI/機械学習ソリューションを提供していた欧州のスタートアップであるが、2018年7月にJDAソフトウェアに買収された。ところが、2020年2月にJDAはクラウドアプリケーションベンダーであることをより明確に打ち出すため、社名をBlue Yonderに変更する。以降、Blue YonderはSCMの計画系ソリューションから、物流、小売業のフルフィルメントに至るまで生産、物流、販売をつなぐサプライチェーン改革を支援するべく、ソリューションを整備してきた。
パナソニックとしては、これまでもインダストリアルエンジニアリング、エッジデバイス、IoTのテクノロジーを組み合わせ、サプライチェーン現場の課題解決に取り組んできた。その取り組みは今後も継続し、最終的にはBlue YonderのSCMソリューションを組み合わせ、サプライチェーン課題解決の貢献範囲を広げていくことを計画している(図1)。