コンピュータ・システムを構成する要素の中では処理速度が遅いとされる「ストレージ」。今回は、そのパフォーマンスを引き出すためにはぜひとも知っておかなくてはならない必須知識を解説する。
その7:平均応答時間は推測可能と知る
キャッシュを装備した制御装置付ストレージ・サーバーを利用した場合、その応答時間の内訳は以下の3つの要素が判れば推測できる(図3-5)。

- キャッシュ・ヒット時の平均応答時間
- HDDの平均応答時間
- キャッシュ・ヒット率
例としてキャッシュにヒットした場合の平均応答時間を0.1ms、HDDの平均応答時間を10ms、キャッシュ・ヒット率を60%と仮定すると、ストレージ・サーバー全体の平均応答時間は以下のようになる。
0.1ms × 60% + 10ms × 40% = 4.06ms
前提条件さえ入手し、このように計算を行なえば、概略ながらも平均応答時間は得られる。上記簡略計算でもわかることだが、ヒット率(というよりはキャッシュ・ミスの率)とHDDの平均応答時間がわかればある程度の応答時間は一意に決まってしまう。特に負荷が低いときの応答時間には、機器によってさほどの差はでない。しかし現実システム環境ではキャッシュ・ヒット率やHDDの平均応答時間はI/O回数が多くなればなるほど影響を受ける。故に今のストレージ・サーバーでは何回のI/Oまで処理できるかというIOPSが大きな焦点となってきている。
この記事は参考になりましたか?
- システム担当者のための今さら聞けないストレージ再入門連載記事一覧
- この記事の著者
-
佐野 正和(サノ マサカズ)
1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア