SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2024 秋の陣

2024年9月25日(水)・26日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

【特集】VMware Tanzu「モダンアプリケーションへ舵を切れ」(AD)

コンテナを始めるなら「シフト&リフト」の最新アプローチで 三井情報のプロが教える“新世界”への移行法

「クラウドベンダーロックイン」にならない、コンテナの始め方を教えます

 クラウドネイティブに向けたアプローチとしては、「リフト&シフト」を耳にすることも多い。一方で、モダナイゼーションを支援する三井情報では「シフト&リフト」を推奨しているという。その理由とは何か、そしてコンテナ環境の構築をこれから始めるなら、どのような構成で、どのようなアプローチがいいだろうか。三井情報のエキスパートに最新のアプローチを訊いた。

企業のコンテナ導入を阻む壁は何か?

 企業は時代に即した画期的なサービスを次々と生み出し、ビジネスの競争力を高めていくことが求められている。実現にはサービスを下支えするIT基盤の最新化(モダナイズ)が欠かせない。開発も運用もクラウドネイティブな技術や文化へとシフトしていくことで、開発のライフサイクルを早めるだけでなく、生産性を高め、運用の自動化や省力化も実現していく必要がある。

 そして、IT基盤またはプラットフォームのクラウドネイティブ化で有効打となるのが「コンテナ」の活用だ。俊敏性、柔軟性、運用効率化、復元力など得られるものは大きい一方で、気軽に実現できるものではない。

 三井情報(以下、MKI) 次世代基盤第二技術部 第一技術室 マネージャー 武井伸之氏は、企業におけるコンテナ導入の壁を2つ挙げる。

(左から)三井情報 次世代基盤第二技術部 第一技術室 マネージャー 武井伸之氏、同社 次世代基盤第二技術部 第一技術室 マネージャー 藤田進氏
(左から)三井情報 次世代基盤第二技術部 第一技術室 マネージャー 武井伸之氏
同社 次世代基盤第二技術部 第一技術室 マネージャー 藤田進氏

 まず1つは、運用が変わること。これまでの仮想環境と比べると、コンテナでは論理的な構造(レイヤー)が異なる。当然ながら運用や保守も変わるため、長らく仮想化環境で運用していた担当者からすると、“ほぼ新しい世界”へ移行することになり、相当の意欲と労力が必要になる。

 もう1つの壁としては、ノウハウ不足が挙げられる。運用の効率化や自動化など、コンテナのメリットには魅力があるものの、ノウハウ不足で導入が実現できないケースは少なからずあるのではないだろうか。具体的に「どこから始めたらいいのか」「何をしたらいいのか」「どこを目指したらいいのか」。自社に導入できるほどノウハウをためるまでには、時間も労力も要る。現業を抱えている担当者からすれば、そう簡単ではない。

 もちろん、コンテナ利活用のニーズは高まっているため、ある程度簡単にコンテナを導入するための選択肢やソリューションも用意されており、上手く利用すると助けになるだろう。大手クラウドプロバイダーを見ればわかるように、コンテナ環境をマネージドサービスで利用できるサービスも各種提供されている。ただし注意も必要だ。敷居の低さに助けられて導入できたとしても、将来的にベンダーロックインで身動きが取りにくくなるような事態は避けたい

 また、実運用を考えるとサポートについても確認が必要だ。武井氏は「しっかりとしたメーカー保証が付くのか、安心できるサポートがあるのかも確認しておいたほうがいいでしょう」と話す。

リフトが先ではなく、シフトが先 その背景とメリットは

 クラウド移行でよく提言されているのが「リフト&シフト」。オンプレミスとクラウドでは前提も環境も大きく異なるため、二段階で移行しようという考えだ。理想としては、クラウドのメリットを最大限活かすように、クラウドならではの機能で構成したい。しかしながら、現実的には一足飛びでの実現は難しい。それならば、まずは現状そのままクラウドへリフトして、後からクラウドネイティブ化を目指してシフトする。リフトしただけでは最適化されていない部分があるとしても、オンプレミスにあるサーバーの維持管理費を減らすことも可能だ。IT予算に余裕を持たせることができれば、新しいことにも少しずつ挑戦できる。

「クラウド利用を選択する権利」を得るという選択肢
「クラウド利用を選択する権利」を得るという選択肢
[画像クリックで拡大]

 この「リフト&シフト」は、クラウド移行における常套句のように語られることもある。ところが近年の状況を鑑みると、必ずしもそうとは言い切れないようだ。事実、MKIでは“異なる視点”のアプローチを提唱している。「リフト&シフト」と語調を揃えるならば「シフト&リフト」。順番を変えるのだ。加えて、「オンプレミスでスモールスタート」することが大きな特徴となる。

 なぜ、「シフト&リフト」とするのか。その大きな理由は「クラウドベンダーロックイン」を避け、将来の選択肢や自由度を確保するため。まずは、オンプレミスで小さくてもいいので、クラウドベンダーに依存しないようなクラウドネイティブな環境を構築。先にシフトしておいてから、リフト(クラウドへ載せ替え)する。

 これならパブリッククラウドでの運用前に、パブリックではない安心できる環境でノウハウを蓄積し、自社にとってのベストプラクティスを模索することができるのだ。セキュリティや監査などの理由でパブリッククラウドを利用できないようなケースとも相性が良いだろう。何よりも武井氏は「(将来的にクラウドベンダーを)自由に選べる権利を確保するため」と説明する。

 こうしたアプローチが浮上してきた背景には、マルチクラウドの普及がある。かつてクラウド移行をするとしても、移行先は限られていた。それが今ではパブリッククラウドだけでもAWS、Azure、GCPなど、他にもプライベートクラウドのソリューションもある。それぞれの魅力的なサービスを適材適所で利用することが求められている中で、クラウドを自由に選択できるメリットは大きい。また 、クラウドの利用料の変化によって“別の場所”に移行したいといった潜在的なニーズにも対応できるようにしておくことが必要だ。こうした背景を考えれば、MKIの「オンプレミス環境下においてスモールスタートでシフトしてから、将来的にはリフトする」というアプローチには合理性がある

 この「シフト&リフト」のアプローチで得られるメリットについて、次世代基盤第二技術部 第一技術室 マネージャー 藤田進氏はポイントを3つ挙げる。

 1つ目は、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドなど複数併用環境下でも、統一のオペレーションを構築する道が開けること。特にマネージドサービスを選んでしまうと周辺の選択肢が狭まってきてしまうため、運用のオペレーションを統一できるような構成またはツールを選択しておくことが望ましい。また複数併用すると、環境ごとにオペレーションがバラバラとなり、学習コストや煩雑さが増えるだけでなく、うまく制御できないなどリスクも増やしかねない。

 2つ目は、既存資産の活用。これまで仮想環境を運用していたのであれば、サーバーリソースがあるはずだ。その一部を流用して、オンプレミスでコンテナ環境を小さく構築する。これにより、既存資産を有効活用でき、これまで培ってきた運用ノウハウも活かすことができる

 3つ目は、データや管理の主軸を決めること。セキュリティの懸念、あるいは法律や規定でデータを外に出せないという制限があるという企業も少なくない。また、不特定多数とリソースを共有するパブリッククラウドではパフォーマンス不足や、自社の運用や操作とは無関係なところで障害に巻き込まれることもあるなど、運用を完全にコントロールすることはできない。これらの懸念に対して、オンプレミス環境を保有していればサービスに適したクラウドの選択、活用ができる。

 藤田氏は「一時的な試用や学習であれば、パブリッククラウドでもどこでもいいと思います。しかし長期的な視野でコントロールをどうしていくのかが重要なテーマです。オンプレミスでのスモールスタートなら、ガバナンスも効かせやすいでしょう。まずは小さい環境から、自社における要件や課題を整理しながら、統一したオペレーションや理想に近い環境を育ていくというアプローチもあります」と指摘する。

コンテナを開始するなら、ここに着眼しよう

 もしこれからコンテナを始めるなら、どのようなところに着眼するといいだろうか。「無理のないように、やりやすいところからスタートすること」と武井氏。仮想環境からコンテナ環境にいきなり移行すると、その分だけ変化も大きくなる。また、従来の枠組みによる、しがらみや縛りもあるだろう。こうしたことで、担当者の心が折れてしまうようではよくない。武井氏は、「ある程度の自由度があり、進展できそうなところ、効果が確実に図れるようなところをターゲットにしていくといいでしょう」と提案する。

 さらに、藤田氏は「本番運用を見据えること」と強調する。将来の本番環境を見据えた上で、スモールスタートするのだ。もちろん技術の進化や流動的な要素もある。時には石橋をたたきながら、できるだけ懸念を払拭していけるような環境を育てていく。

 「これからコンテナに取り組もうとするお客様にとって、コンテナというのは難しい技術になります。ある程度は知識を吸収できても、なかなか手が動かないことも少なくありません。そのため小さな環境を構築しながら、経験値を積むということが必要になってくるのです」(藤田氏)

 とはいえ、現実的にはスモールスタートで独自に環境を構築して、ノウハウを蓄積していくことが難しいと感じる人もいるかもしれない。その点、MKIではコンテナ(Kubernetes)環境を始めるためのサービスとパッケージを提供している。

 それが「Tanzu Kubernetes Grid簡易構築サービス」であり、「VMware TKG on VxRailパッケージ」だ。VMware Tanzu Kubernetes Grid(TKG)は、Kubernetes環境を導入する敷居を下げて、オープンソース版のKubernetesよりも効率良く開発/運用が行えるよう整えられたVMwareの製品。Kubernetesをベースとしたモダンアプリケーションの開発、実行、管理をカバーするポートフォリオで、アプリケーション開発者とインフラ運用担当者の橋渡しができる点が特徴だ。最新および安定したKubernetes、ビジネス規模に応じた柔軟な構成、マルチクラウド対応、ネットワーク管理やセキュリティ、さらに運用の自動化のための機能も豊富に取り揃えている。MKIでは、このTKGをvSphere環境にインストールする定型サービスを提供しており、同サービスを利用することで、コンテナによるサービスの開発や運用の構築をすぐにでも開始できる。

 MKIのVMware TKG on VxRailパッケージでは、デル・テクノロジーズのHCI(Hyper-Converged Infrastructure)であるVxRailに、TKGでシンプルな環境を構築する。TKGを使用する上で検証が行われたVxRailを採用することでKubernetes環境をすぐに使うことができるのだ。また、ハードウェアやネットワークなどの設計から導入、利用トレーニングもあわせて提供するため、必要なものがセットとなり早期に利用できるようになっている。

「Tanzu Kubernetes Grid簡易構築サービス」「VMware TKG on VxRailパッケージ」でコンテナプラットフォームの変革を目指す
「Tanzu Kubernetes Grid簡易構築サービス」「VMware TKG on VxRailパッケージ」で
コンテナプラットフォームの変革を目指す [画像クリックで拡大]

 武井氏は「これからクラウドネイティブなど、新しいことを始めようとしているお客様がスタートラインに立てるように支援していきます」、続けて藤田氏は「習うより慣れろです。私たちが伴走する形で支援していきますので、ぜひコンテナ活用への新たな一歩を踏み出してみてください」と、二人はコンテナを始めようとする読者に向けてエールを送った。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/15883 2022/05/30 10:00

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング