日本のサプライチェーン強靭化の現状
組織が大きくなればなるほど、企業の業務プロセスには複数の部署が関与し、複雑になる。実際、誰かが誰かに何かを依頼されること、逆に誰かに何かを依頼することはよくあることだ。そこでは書類のやり取りを伴うことも多い。ワークフローと聞けば、多くの人が電子申請を連想する理由だ。
しかし、製造業のサプライチェーンに関わるステークホルダーは、本社部門だけでなく、工場、倉庫、販売店、サプライヤー、顧客に至るまで様々だ。やり取りされる情報の中身も、ドキュメントの中身だけでなく、部材や商品に紐づけられていることも多い。その際は、社内だけでなく、社外のステークホルダーとの連携も必要だ。さらに近年の経済のグローバル化の影響で、国内拠点だけではなく、海外拠点への目配りも必要になっている。
サプライチェーンが複雑化し、そのリスクのマネジメントが難しくなった現状を踏まえると、海外拠点で発生した問題を日本の本社で迅速に検知するような仕組みが必要だ。でなければ、適切な対応策を講じるタイミングを逃してしまうことにもなりかねない。今般のコロナ禍が企業のサプライチェーンの大きなリスクとなったことは、記憶に新しいところだ。加えて、気候変動や人権問題のような要素も加わり、企業のサプライチェーンに関するリスクは多様化の一途にある。
サプライチェーン強靭化のためには、需要変動に合わせた供給の追随を迅速に行え、途中の流れが途絶えた場合でも、速やかに復旧する仕組みが必要だ。その実現に大きな期待を寄せられているのがDXである。しかし、問題はサプライチェーンの裏側の情報システム環境に分断が生じていることだ。これではデータのやり取りが滞り、リアルタイムに現状を把握することができない。データ連携で、サプライチェーン全体を可視化する。そのための単一プラットフォームを提供することがServiceNowのビジネスである。
今、あらゆるステークホルダーをつなぐサプライチェーンの確立が求められているわけだが、日本の製造業のサプライチェーンマネジメント分野におけるDXはまだ本格的には始まっていない。例えば、ServiceNowの顧客である製造業のCxOに聞いた結果からは、「サプライチェーン全体で何が起こっているかをより明確に把握したい」「サイバー攻撃からサプライチェーンや工場を守る必要がある」「コスト削減のために時代遅れのプロセスを改善するか、自動化する必要がある」などの声が挙がっており、問題は認識しているが、どこから手をつけて良いのかわからない状況にあるようだ。